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読書ログ③「変な家2」(ネタバレあり)

こんにちは、Kasaです!
本日は、「変な家2」についてまとめていこうと思います。
それではいってみましょう〜!



「変な家2」概要

あらすじ

雨穴最新作!『変な家』第2弾!
14万字超、完全書き下ろし!
あなたは、この「11の間取り」の謎が解けますか?
前作に続き、フリーライターの筆者と設計士・栗原のコンビが
不可解な間取りの謎に挑む。
1「行先のない廊下」
2「闇をはぐくむ家」
3「林の中の水車小屋」
4「ネズミ捕りの家」
5「そこにあった事故物件」
6「再生の館」
7「おじさんの家」
8「部屋をつなぐ糸電話」
9「殺人現場へ向かう足音」
10「逃げられないアパート」
11「一度だけ現れた部屋」
後編「栗原の推理」
すべての謎が一つにつながったとき、きっとあなたは戦慄する!

通販サイトAmazonより

読書感想

ネタバレなし

個人的には「変な家」より好きです。
理由は2の方が現実的だなと思ったこと、また11の間取りが複雑怪奇に絡み合ってるけど、栗原さんやそれに基づいて著者の推理や洞察力によって1本の線になる展開が好きだからです。

前作では1つの間取りをメインに、それと類似するものでしたが、今回は11の違う間取りですので、ボリューム満載の作品です!
380ページくらいありましたが、これも1日で読み終わってしまうほど、読みやすかったです。

続きが気になってしょうがなく、どんどんページが進んでいきます。
YouTubeで公開されている続きの謎がわかった時は、そういうことだったのか!とスッキリしました。それなら娘の部屋を取り壊すことに理由があり、辻褄が合います。

わからなかったこと、気になってたことが後半に絡まった紐が解けていくようなさまは本当に読んでいて面白かったです。またこうではないか?と考えるのも楽しかったです。

意味がわかると怖い話ですので、8月の今だからこそ涼むことができる作品だと思います。
「変な絵」同様、ホラー小説初心者やたまには違ったテイストの本を読んでみたいと思う方にはおすすめです!

※ネタバレあり

ここからはネタバレが含まれますので、気になる方はスキップしてください。
また独自の感想ですので、これ違うのではないか?と感じる方はぜひコメントで共有していきましょう。

まず、言葉で説明するより下図を見てください。
自分なりに「変な家2」の相関図を時系列、関係図をまとめたものです。
本書に出てくる資料の年代は、間違っているところもあるかもしれませんが、ご了承ください!

「変な家2」私なりのまとめ

11の間取りは一見関係ないかもしれないものかもしれないけど、実は全部一つに繋がっていることがわかりました。
それは栗原さんの推理にも記載あり、そうか!なるほど!て納得しても、自分なりにまとめることで、本書の話の辻褄や整合性が綺麗だと再確認できました。

そこから見える事実は、物語の中心は「再生の館」、そしてそれを裏で操っているヒクラハウスの存在です。
資料②「闇をはぐくむ家」も、もし「再生の館」の存在がなかったら、存在さえしなかった家だと考えられます。
ヤエコはただ利用された女性で、本作の一番の被害者といっても過言ではありません。

資料③「林の中の水車小屋」、資料④「ネズミ捕りの家」、資料⑤「そこにあった事故物件」、資料⑥「再生の館」では女性がどんな扱いを受けていたのが分かります。
資料④「ネズミ捕りの家」では家族から見放されてしまい、資料⑥「再生の館」では自分の娘から辱めを受けさせられた。
その理由は資料⑩「逃げられないアパート」で、ヤエコの娘を売春させたためで、ヤエコも罪悪感を持ち、「再生の館」の象徴になることに対して了承はした。

しかし、誰にも愛されていないと寂しい気持ちになったヤエコは最後に、母親のもとに帰りたいと感じました。
資料③「林の中の水車小屋」では母親が必死の思いで産んでくれた場所、資料⑤「そこにあった事故物件」では資料③の水車小屋を改造し、母親のもとに帰化したいと思いで作られたと語られています。

ヒクラハウスは己の欲望を欲するがままに行動していたのは、一種の人間だと感じました。
欲望の塊すぎて、ドン引きです。

資料②「闇をはぐくむ家」の記載の中で「メディアからヒクラハウスは幼女虐待していた」と流されたせいで、自身の会社が炎上。
そのせいで売り上げが落ちてしまったが、そこでヤエコを象徴として「再生の館」を使って、自分たちの利益につながるように減築をさせた。

だけど宗教がなくても、メディアの力を利用し、またライバル会社が失墜したことで、また盛り返したことができた。
だからヤエコの存在が疎ましくてなって、資料④「ネズミ捕りの家」につながり、孫を使って義肢を隠し、見殺しにした。
すごいねー、本当に。人間の汚い部分をこれでもかってくらい詰めましたね!

資料④「ネズミ捕りの家」で孫のミツコは、罪悪感を感じ、富豪の家から出て、今は介護士として老人ホームで働いています。
自分の罪滅ぼしのため、と言っていますが、同情心もあります。
確かにミツコは祖母・ヤエコからかわいがってもらっていたが、家族からは疎まれて、しかも自分の居場所を守るためにやったことかなと少しだけかわいそうだと感じました。

きっかけはささくれのような小さな傷だったけど、それが大きくなり瘡蓋になり、それを何度も剥がし、綺麗な肌だったのに消えないアトが残ってしまったような感じです。
だけど、それを修復せずに、まるで臭いものには蓋をするようなことをして、何事もなかったかのように振る舞う。
これが、この作品の中にある、拭いきれない薄気味悪さなのかなと思います。

確かに、この11の間取りからことの発端から終息まで把握することはできましたが、ヒクラハウスの間取りは日本各地で100以上存在することを加味すると、また資料②「闇をはぐくむ家」の事件・事故が起こってもおかしくはないということではないでしょうか?
そう考えるとこの物語は、まだ終わっていないのかな、むしろ始まったのではないかと思いました。

資料⑧「部屋をつなぐ糸電話」、資料⑨「殺人現場へ向かう足音」ではお互いの父親が犯人だけど、結局は母親の自殺したという。
確かにお互いの父親は不穏な動きはあったけど、母親が不倫の罪に耐え切れずに自殺してしまった。
だから、資料⑥「再生の館」、資料⑦「おじさんの家」、資料⑧「部屋をつなぐ糸電話」の男は大変な色男だから、不倫の末に作ってしまったハルキくんを守ろうとしたが、守れずに「再生の館」を模した部屋の心臓部分を閉ざした状態で自殺したってすごい皮肉ですね。「再生の館」に何もダメージを与えないのに、何も意味がない。

一番面白いなと思った物件は資料⑪「一度だけ現れた部屋」です。
レアアースの磁石をうまく利用して、隠し部屋のように普段は見られないようにし、心臓の部分を作るって面白い発想だなと思いました。
それによって、「再生の館」の形を完全に再現していました。

まとめ

雨穴さんの「変な家2」の読書感想は、いかがでしたか?
宗教は自分には遠い存在ですが、ひょんなことから身近な存在になりかねないですね。

自分の精神を保つために、何かにすがるのは悪くありません。
罪は罪、最初から謝ればいいという話じゃないですかと簡単な話ではないです。
現実世界は複雑怪奇でとても辛いです。それがうまく表現されている作品だと思ってるから、「変な家」より好きだと感じました。

最後まで読んでくださってありがとうございました!
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