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相性~親子の場合/介護の苦痛・超える時

相性とは面白いものです。
自分と他の人の間におこる化学反応のようなものですが、好きになった人、友だち、恋人、夫婦など他人が相手のものだけでなく、勿論、親戚、家族、兄弟や親子にも存在します。

そして特に親子の場合は、相性が悪いからといって「もう二度と合わない」というようなことがまだまだ難しい、そこが他人との大きな違いです。また、仮に「離れても良いのだ」と思おうとしても、「そこまで吹っ切ることがやっぱり出来ない」という場合も含めて、いろいろ厄介な感情との付き合いになることもあります。

今回は相性の中でも親子、それもマイナス面が強い、いわゆる毒親と言われるような親と子についてです。

今回のお話は、万人にむけてというものではありませんし、人との関わりは人の数分ありますから、沿わない物もあると思いますが、苦しいなと思う方の一つの着眼点になればと思いお送りします。


化学反応のような相性というもの

世の中にはいろんな繋がりや相性があります。親子の場合は、この相性によって、子どもの頃から何かしらの違和感や不自由さを抱えたり、自分らしさをのびやかに育てられなかったと感じる人もいれば、逆に、持っているセンスをフルに伸ばしてもらったという人もいるでしょう。

また、よく耳にする、毒親という言葉でさえも、例えば兄弟姉妹が何人かいる場合、末っ子には毒親ではないのに、上の子にはそれであるとか、生まれた時や順番によって違う場合もあります。

これが相性です。その人自身がいい悪いではなくて、その二人が一緒になることでおきる化学反応のようなものです。故に、例えば長男には良き母なのに、次男にはマイナス要素が強い母になることだってあります。

またもっと言えば、一見すると仲良しのよい親子に見えても、実は、いわゆる共依存関係であり、子どもが親の範疇から飛び出さないように、巧みに制御している関係もあります。ですから、実は葛藤がなさそうに見えるこのケースよりは「親に腹が立つ」と言える方が対処はしやすいと思います。

この関係性を考える時、わたしは星読みですから、単純に、まずそれぞれの星位置を比べて、具体的なお話をします。勿論、それだけで判断がつくものではないのですが、ほとんどの場合、はっきりしたサインが現れています

逆に、それほど悪い相性ではない場合もあるにはありますが、その時には、両親と家族全体のバランスが関わってくる場合が多いように感じます。

家族とはいえ、マイナス作用が強まる相性、すなわち相容れることが難しい相性というものがあります。抱えていた違和感の元はこれだったのかと、この段階でようやく気付くこともあるでしょう。

そしてこれを認識したら、そこから学び、超えることもできますし、そのためにこの家族に生まれたのだと感じる方もいらっしゃいます。

ただ、そこまでの整理ができるまでには時間がかかる場合もあります。ですからまずは、そのスタート地点に至るまでは、どんなマイナスな化学反応が起きているのかを客観的に眺めたうえで、親に対してのない物ねだりをしないことなどが関係改善には有効だと思います。

以前に、相性がよくないものをそのまま認めるのは、憑き物落しのようなものとお話したことがありますが「これだけマイナス要因があるなら仕方ない、どちらがいい悪いではない反応なのだ」と冷静になることからはじまるものがあります。

これにより、相手を、特に「親を悪く言う物ではない」というような教えが染みついた人の罪悪感は減少し、自分の気持ちと正直に対峙することができると思います。

血縁だからこその苦悩

ただ、他人と違って、解ってもなかなか一気には腑に落ちないのが肉親の場合であることも事実です。いろんな感情が入り混じって、一つの想いは正しくもあり、真逆でもあるでしょう。大嫌いだけど好きになりたいし、ひどい扱いを受けているけれど愛されている思いたいし、それはそう簡単に整理できるものでもありません。

また、「あの人の血が自分には少なくとも半分は入っている」そう感じたところから自由になれないと思われる方も多いようです。

ある人は言いました。
「頭がおかしいと思われるかもしれませんが、時々、首のこのあたりの血管を掻きむしって血を全部だして、あの親の血が入っていないとなるまで
入れ替えたいと思うのです。」

とても精神的に追い詰められていた時の発言ではありますが、これは他人が相手の時には感じるはずもない苦しさです。

物理的に親元を離れて独りになれたから、或は、自分の家庭を持ったから「切り離せた」と思っても、それだけでは、また戻されることもあります。

そして、その苦悩が戻るきっかけにもなり、同時に、縛られた親子関係を最後に超えるチャンスになるのが、親が年齢を重ねた時、つまり親の介護などが身近になる時でもあります。

勿論、結婚や出産などを経て、この段階までに、大人同士としての関係を築いておきたいのですが、それが難しいパターンの組み合わせもいます。

本当に自由になるために

別のある人は言いました。
「母に復讐をしたいです。それほど嫌いです。でもしたくてもできない。
5分もたたずに忘れてしまうから。」

その人は、親への憎しみを抱えながら、認知症を発症した大嫌いなお母様の世話をしなくてはならない人でした。

この時、わたしは彼女に
「復讐する方法はあります。それは、あなたが幸せになることです」
と言いました。

その人は、先に挙げたような、持ち前のセンスを伸ばしてくれる親子関係ではなく、むしろつぶされそうになりながら、今日まで生き抜いてた子どもでした。

重ねて申し上げますが、他人同士の相性と異なり、どんなに「これだけの悪縁があるから仕方ない」といっても親子の場合は、なかなか簡単にはその想いが手放せないことが多いものです。

でも、実際には、他人同士でみつけるよりもとてつもない悪縁とよばれるようなバランスは、親子の相性の中にごろごろしています。

また、苦悩を抱える人の中には、健全な親子関係に恵まれなかったこと生まれた時から決まっていたような困難があるということが非常に不平等であると、よりネガティブな思考に堕ちていく場合もあるようです。

でもこれは関係性の問題だけでなく、経済的に恵まれた家庭であるとか、他にも格差といわれるようなものにも、感じることがあるのではないかと思うのです。

でも、ここがポイントです

例えば、美しい人がもてはやされるから不平等とか、経済的に恵まれている家はいいなとか、そんなことを思う場合もあるかもしれません。家族の中でも、「お姉ちゃんは美しいからかわいがられた、わたしは違うから不平等だ」と仰る方もいらっしゃいました。

でもそうなんです。要は、すべては不平等からはじまっています

比べてみるならば、すべては違います。それが人生ですし、世の中です。
不平等はデフォルトです。

ここまで相性の話をしてきたわけですが、育成過程に関するひっかかりは、まずはここからです。思うようにいかないし、不平等があるのが現実であると認める所から始める必要があると思うのです。

そしてこれが腑に落ちた時から、親のことをひとりの人間として見られるようになっていることも少なくはないと感じています。

それは圧倒的に、初めから楽な立場や環境、生活の方がいいです。そうだったらいいなとも思うでしょう。でも、そうではないその中で、もがくからこそ、また、自分が求める物のために工夫をし思案し、悩み、勇気を出して実行していくからこそ、その人のオリジナリティが生まれるのだと思います。

そしてそれが「自分が何者であるか」という信頼と自分を拠り所にできる安心感を生み、それは個性として、周囲とも調和するはずです。

ですから、まずは言葉は悪いですが、大嫌いな親の面倒をみなくてはいけない現実を背負わされた今を、そんな苦労がない人と比べての不平等だと感じる今を、個性を確立するチャンスだと捉えてください。

その上で、いかに自分を守りながら、上手に親との距離を保ちながら、どうつきあっていくのかを具体的に考えましょう。
勿論、独りで抱えずに、出来かぎり、周りの人の手や知恵を借りながら。

※文中のコメントはご本人の了解を得て掲載しています。


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