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勝手耳

カサカサ葉っぱの落ちてくる音を録ろうと試してみた。
音のする木に向けて、スマホを「ビデオ」にする。

自分も息を殺して、じっとたたずんでみる。
ぽちっと押して録画・録音を始める。

案外ほかにもいろんな生活音が聞こえてくる。
聞きたい音を拾って録ろうと静まっただけなのに。

おもしろいね。

うん、おもしろい。

ふだん、いかに聞きたいものだけ聞いているか、ということに気づかされる。
これもいわゆる「勝手耳」に入るのではなかろうか。

目を閉じて、じっとその場にたたずむ。
耳をすます。
なにが聞こえるか、心にとめる。

ときどき、ワークショップでもそんなことをするけれど、
ふだん聞き取っていない音があることに気づく。

聞いているようで、聞こえていない、聞いていない、聞かない。
見えているようで、見えていない、見ていない、見ない。
考えているようで、考えていない、考えられない、考えない。

自分の世界は、音も含めて、自分の都合勝手でつくっている部分も多いのではなかろうか。
「勝手耳」でできた世界でもあること、
取捨選択してつくられているのが、自分の世界であること。

それだから、ときどきにでも謙虚に耳をすますこと、目を向けること――を覚えておかなければ。

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