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2カメラ撮影の憂鬱(初心者の映画制作講座)

この記事は、「映画/動画が作れるようになるメールマガジン」の過去のものからピックアップしてご紹介しています。

・1作品、作ったことがある。

・知り合いの映画制作を手伝った。


このくらいのレベルの方からよく相談されるのが、
「2台のカメラで同時撮影したら、楽ですよね!」
というもの。

会話シーンとかって、二方向から撮ることが多い。
だから、それを一気にやってしまったら撮影が早くなるんじゃないか。

この気持ち、よーく分かります。

僕も昔、これを実践したことがあります。


ちょっとこれ、具体的に考えてみましょう。

カメラを2台設置する
 ↓
カメラのレンズに映っている範囲が広くなる
 ↓
通行人や車などが映像に映り込む頻度が多くなる
 ↓
撮り直しが多くなる
 ↓
撮影に時間がかかる

・・・・あれ?

撮影時間を短縮するのが目的のはずだったのに、
結果は逆効果??

あなたが監督だとすると、
カメラを2台にすると、手間が2倍以上になる、と考えてください。

◎機材が2倍必要になります。
 バッテリやテープ(メモリ)などの心配が2倍になります。

◎カメラマンが2倍必要になります。
 カメラマンからの質問も2倍になります。

あと、撮影が終わった後も、編集素材が増えてしまうことになります。
素材がたくさんありすぎるのも、大変なんです。

と言う訳で、
カメラ2台撮影体制は初心者にはオススメしません。(きっぱり)


映画の撮影って、役者さんなどの「撮影対象」のことだけを考えがちですが、

  • 機材のこと

  • 人(スタッフなど)のこと

  • 外的要因(気候・環境・歩行者など)のこと

など、複数の要素も考慮しないといけないんです。

撮影には、いく通りもの選択肢があるわけですが、多くの人が理解していないことがあります。

それは、「スタッフ間に情報が行きわたっていれば」という条件が付くということ。

そして、その「情報がいきわたる」ことこそが至難の技であること。


難しい、とだけ書いてしまうとフェアじゃないので、2台カメラ撮影が活かせるパターンも書いて終わりにします。

特殊なアクションシーンなど、何度も同じことができないような撮影を、「そのシーンだけ」2台で撮る、などの限定的な使い方ならOKかもしれません。

また、メインカメラマンが監督の意図を完全に把握し、もう一人のカメラアシスタントを指導できるような環境であれば、話は変わってきますね。

撮影を簡単にするのは機材ではなく、みなさんの準備なのです。


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