音楽を依頼するときの注意点(初心者の映画制作講座)
監督をやりたいと言う人は、たいてい”視覚重視”の人が多いものです。
つまり、カメラ機材はどれがいいとか、構図がどうとか、そういうところには詳しい人が多い。
その一方で、実は音楽にも詳しくてね・・という監督さんは多くない(気がする)。
悲しいことに僕のその一人でして、本稿では、残念ながら、「映画音楽の作り方」みたいな内容が配信されることはありません。
となると、監督さんは音楽を依頼できる人を探さないといけないわけです。
僕が、自分の作品に音楽を付けてもらうのに最初に口説いたのは、インディーズのミュージシャンでした。
路上ライブをやっている彼らに連絡を取り、訳を話して映画音楽に楽曲を使わせてもらうようお願いしたのです。
快い返事をもらい、映画制作が始まりました。
しかし、僕はその時、映画音楽が大きく2種類に分かれることに気付いていませんでした。
つまり、主題歌と、効果音楽の違いです。
イラストが描けることと、デザインができることとは違うようなもの。
野球選手に「スポーツやってたら同じだから」と、水泳大会に出てもらうようなもの。
ミュージシャンは歌詞をメロディーに乗せて歌っていますから、主題歌ならオッケイです。
が、途中の効果音楽を作ることはぜんぜん別物でした。
結局、当時は、主題歌のメロディー部分だけをもらい、僕の方で切り貼りして使いました。
これ、音楽を作る側からすると、とんでもないことですよね。
(今となっては反省しています・・)
この違いが分かっていない例はよく聞きます。
主題歌はミュージシャン主導で作るのかもしれませんが、効果音楽は、使うシーンの雰囲気、シーンの長さ、盛り上がりの強弱など、監督が事細かに指示出しをする必要があります。
あなたが、視覚重視で音楽に造詣が深くない監督さんだとして、映画の音楽を依頼する作曲家やミュージシャンを「決める時」に注意するといいかなと思うのは、次のポイントです。
依頼するのは、主題歌と効果音楽のどちらか?
相手はどちらが得意か?
どんな作風か?どんな雰囲気の曲を作る人なのか?
作りたい作品と音楽の方向性が合うか?
お願いすることになった後も、がっつり作曲してもらってから変更をあれこれ依頼するのも悪いし、かと言って、気に入らない部分があるのに編集を続けるのは、監督としてもしこりが残る。
それを避けるためにも、曲の一部を作ってもらってから確認し、変更するかそのまま行けるか判断する、という“ちょっとずつすり合わせ作戦”がいいでしょう。
だって考えてみてください。
役者さんの演技は、「もうちょっとこうしてみて」と細かく演出するでしょう。
カメラマンは、カメラを構えた後で「この構図でいいですか?」と確認を求めるでしょう。
全てのことにおいて、映画作りはすり合わせの積み重ねなのです。
だから、コミュニケーションが密に取れる人に依頼する、というのも大切ですね。
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