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なんとなく、元気がない時


なんとなく元気がない。雨の匂いが澄んだ秋の陽気から空気の澱んだ自室へと帰宅する。なんとなく湿った靴下の感触が嫌いで、脱ぎ捨てたままフローリングに寝っ転がる。もちろんカバンもそのまま。革製品だから水気を拭き取らないといけないのに。

 なんとなく携帯を開く惰性はあるが、化粧を落とす気力はない。

 お腹は鳴っているが、右手を火傷していて料理を作りたくもない。私は毎日夜に次の日のスケジュールを細かく書いていて、今日の夜は野菜の雑炊の予定だった。なんとなく台所に立ってみるが、野菜を切る作業は煩わしく、結局玉ねぎだけ二等分して全て冷蔵庫の野菜室に戻した。たまねぎのせいだと言い訳をしながら少し泣いた。何をやってもうまくいかないのだ。

 こういったときに、自分は今空回りをしているな、と思えるときと思えないときがある。後者はもうどうしようもないので一か月くらい放っておく。前者の場合もどうしようもないのはないのだが、対処法はある。
ご飯を決まった時間に食べ、部屋の中にあるごみというごみをすべて一か所におさめてから、うつぶせになって目をつぶる。そうすると、いつもは感じない内臓の重みに気づくのだ。心臓が血を絞り出す振動、うまく呑み込めない唾をもてあましながら、呼吸する音も聞こえないくらいしずかにじっと寝る。何もうまくいかないときはこうするのが一番である。静かにへその裏に広がる宇宙を感じる。そうするとだんだんおなかがすいてきたり、部屋が散らかっていることに気づいたり、明日までにしなければならないタスクがあったことを思い出す。
 浮いていたからだが地上に降りて、次第に両脚がしっかりと道を踏みしめる。しばらくするとまた浮いてくるが、脚に翼はないので、飛んでいく心配はない。

 

 ついでに宣伝。私と小学校以来の友人で、MV作りました。このビデオでは、足に翼生えて飛んで行ってます。鮮やか~。編集作業って、難しいけどやれば楽しいですね。

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