ぺら一枚の感想

2つの展示を終えてはや一か月以上が経っています。フィードバックも何もないですが、いろいろと私が思い詰めているようなので、その時の日記を参考にしながら修正したものをこちらに載せます。
今一度ここで、皆様に感謝申し上げます。

「そうぞう×じかん=道のり」展が昨日でおわりました。私たちにとって始めて、自らが企画した展示会でした。
机の上に山積みになった作品と紙の束を見ながら、脱力感にふける――、こともしたかったのですが、明日はアパレルの撮影があるので早めに寝床に入り、仕事の準備をしなければなりません。一週間分の凝り固まった肩とふくらはぎをほぐしながら、片手間にこうして日記を書いています。

振り返ればあっという間の1週間でした。会期まで1か月に迫った中、そろそろ形にしなければと思い始め、実際に始めたのは2週間前の3月に入ってから。なんとかなるだろうの精神(結局なんとかなりましたが)であたまの中にしかメモをしていなかった詩を思い起こし、なんとか2冊の本と3編の小話、2編の散文にまとめることができました。

【お野菜アコーディオンブック】
4つの感情をそれぞれ4つの野菜に閉じ込めました。慕情、嫉妬、失恋、成長、めまぐるしく動く時の中で、皆(私)が少しでも激昂することのないように、まろやかにとろりと生きていけるような作品を目指しました。展示に来てくれた方々がまるでクイズのように野菜を当てていくのは見ていてとても楽しかったです。

【じゆう帳】
 「自由」をテーマに書きました。2022年、2月24日(奇しくも私の22歳の誕生日でした)に「独立した国家の自由の平和のための戦争」が開始されました。私は理性のある一人の人間として、この一連の侵略戦争に強く反対する立場を取ります。
自由な社会、自由な世界というのはわがままを突き通す子供じみたものではなく、議論や批判の先にある愛を伴った民主主義社会だと私は確信しています。

【変わり目 3編】
「冬の始まり」「冬の終わり」「春の始まり」の短い話を3枚の紙に綴りました。季節の変わり目は心も体も、その季節に適応するために悪戦苦闘しますが、私はおそらく普通の人以上に拒否反応が強くなにか変化が起こるたびにそのエネルギーや空気感に圧倒されてしまいます。来年の冬はなんとかこの作品を眺めながら生き抜きたいなと。

【金の糸】
夜中に外に1人でいると、不意に人差し指を平行にする癖があります。その指の先から金色の糸が出て、どこまでも、どこまでもまっすぐに進んでいくような想像をすると、私は魔法使いになったような気分です。嫌な奴も、嫌な感情もこの金の糸で締め上げたい欲求に駆られます。

【黒髪】
戻れない過去に捉われる孤独な女性の話です。

基本的にはメモに放っておいた1カットの情景や、感動した世界をきりとったものを形にしています。iPhoneのメモを度々私は「宝箱」と呼んでいますが、それをさらに大好きな紙に閉じ込められたことは私にとっての大きな成長と喜びです。

 そして、今回立体の分野で関わってくれた学生時代の才能あふれる友人えのき(instagram)、音楽で素敵な世界を届けてくれた幼馴染ツダシオリ(Twitter)には感謝してもしきれないほどのアイディアをもらいました。全ての日程がギリギリで無理をさせてしまって本当にすみません。当日の深夜に3人のグループラインの通知が止まらなかったのもいい思い出にしましょう。2人とも連日の徹夜お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。

最後に、今回経験のない私たちに快くギャラリーを貸してくださったGallery cadocco の原田様、展示に来てくれた皆様、メッセージやインスタライブにコメントを残してくれた友人達にも改めてこの場で感謝申し上げます。

2022年3月

「ONENESS」の展示が終わりました。先々月とは私の環境も立場も大きく変わり、学生から社会人へ、仕事も増えて忙しい合間を縫いながら、ライターをしながらもフラワーセラピーを行う穂乃花ちゃんと2人の「oneness」に向けて準備を進めていきました。
 この間に急激なスランプに陥り、自分が何を媒介として表現すればよいのかわからなくなりました。
 文字にするか、本にするか、はたまた立体、紙、詩…考えながら、結局絵にすることを選びました。0から1を作るのではなく、白いキャンバスの限られた空間の中で、自分を表現したかった。初めてを楽しみたかったのです。画材は油彩を選びました。制作中はいろいろな絵の具が飛び散り、カッターの刃が床に刺さり、小さな紙屑が寝室にまで入り込みました。今でもその時の惨憺たる有様の遺品がカーペットと白い靴下にこびりついています。
 『Aster』
青いアスターの花が入った硝子の玉を持って見つめている少年の姿を描きました。青という色は、この世でいっとう不思議な色だと思います。
『Girl』
花が散らされた翼を持った少女です。


 今回は2作品のみ描き下ろしました。それ以上の気力はあまりなかった。ただ、自分の積み上げてきた感性は無駄でなかったとつくづく思った企画でした。
 ここで新しい出会いや発見がありましたから。何よりの喜びです。穂乃花の花に囲まれて、小さく息をついて、春の匂いに気づきました。3月には固まっていた空気の水が、もう溶けて流れ出していました。それとともに多くの人が自分の殻から這い出てきたのです。私と彼女の作品に会うために。

とにかく今回は疲れました。彼女も多くの悲しみを持ったと思います。感情が渦巻いていますが、ひとまず明日は仕事なので、棚に押し込んで寝ることにします。
ご来場ありがとうございました。また書きます。

2022年5月

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