くによし組「チキン南蛮の夜(再演)」座談会!
今回は2023年5月に上演する「チキン南蛮の夜(再演)」のメンバー、小野寺ずる(加奈子 役)、永井一信(佐山 役)、 大見祥太郎(チキン南蛮の地縛霊 役)、渋谷裕輝(ピースケ 役)、作・演出である國吉咲貴を交えて座談会を行いました。
※座談会後半に、本編のネタバレが含まれます。ご注意ください。
【公演ホームページ】
https://kuniyoshigumi.jimdofree.com/次回公演-1/
顔合わせ&台本読みの練習初日。台本読みを終え、和やかな雰囲気で座談会がスタートしました。(聞き手:中村穂乃香)
──今回、『チキン南蛮の夜』(以下、『チキン南蛮』と略記)に出演される皆さん、それぞれ自己紹介をお願いいたします。最近ハマっていることや、また、それぞれ役名について教えてください。
永井 「くによし組」の永井一信です! 『チキン南蛮』では佐山くん役で出演しております。よろしくお願いいたします。僕は最近、家庭用のゲームにハマっていますね。「ARK:Dinosaur Discovery」という恐竜サバイバルのゲームが好きです。
渋谷 僕はピースケを演じる渋谷裕輝と申します。野球に関する本を好んでよく読んでいます。ほかにもホラー映画が大好きで、「毎日ホラー映画を見る」という企画を勝手にしています。感想を書いてまとめているのですが、今日で丁度106日目ですね〜。王道からマイナーなものまでどんどん漁ってますね。ホラー映画観た時に、「うわぁ、怖い!」と思ったことが無いんです。
──ホラーを観て怖いと思わない動じなさがなんだかピースケ役にも通じていそうです。ずるさんはいかがでしょうか?
ずる は、はい! 加奈子役を演じる、小野寺ずると申します! 普段は俳優や、漫画を描いたりインタビューの仕事をしています。脚本、演出を2022年の夏頃から始めました。劇団というものに出るのが2年ぶりと久しぶりで、かつ、人前でいっぱい喋る役なのでとても緊張しています…。脚本と演出で活動するようになってから、自分の団体以外で役者をするのが初めてなので、新たな気持ちで取り組めたらなと思っています。ドキドキの公演です。よろしくお願いいたします!
大見 僕はチキン南蛮の地縛霊役、大見祥太郎です。普段は大学に通いながら役者として活動しています。最近20歳になってお酒を飲めるようになったので毎日がすごく楽しいです! お酒に合う料理を作るのがマイブームで、生活が豊かになりました。
──お酒を飲めるようになると、食の楽しみが広がりますよね! では、そもそも、みなさんがどうしてこの『チキン南蛮』に出演されることとなったのでしょうか? また、『チキン南蛮』の初演や脚本を見た時に感じられたことについて教えてください。
永井 これまでの「くによし組」の作品の中でも、特に『チキン南蛮』が気に入っていると國吉さんに話していました。そこで、今回『チキン南蛮』を再演するとなった時に、國吉さんから「出ますか?」という風に声を掛けていただけたんです。
國吉 再演をしようと思った当初は、初演の佐山くんが大阪弁だったので大阪弁の俳優さんを探していました。また、同時にずるさんに加奈子役をしてほしいとイメージしていました。別の作品のオーディションで大見さんとお会いした時に、「あっ、この子チキン南蛮お願いできそうだ」と思ったんです。それからピースケは誰だろうと考えて、渋さんならいけるなと思って。そしたら佐山くんもちょっと異色なほうが全体のバランスが良くなるかなと、「大阪弁じゃなくて奄美弁の人がそばにいたじゃない」と、永井さんにお願いしました。
永井 そういうことです(笑)。
──台本読みで永井さんの奄美弁を聞いた時、言葉の意味が分かりそうで分からない、不思議なニュアンスに感じられて面白かったです。永井さんは奄美弁で喋ろう、みたいなスイッチがあるのでしょうか? また、過去にも奄美弁で演じられたことはありましたか?
永井 奄美弁で演じたことは過去に1回あったかな、と思います。奄美弁は喋ろうと思えば喋れるという感じですかね。親と電話で喋ると感覚を思い出して、バーッと言っているなと思います。みなさん、奄美弁はあまり馴染みがないですかね?
ずる 私たちは台本を読んでいるから意味が分かるけれど、初見の人からすると驚くかもしれないですよね。知らない国の言語の曲を聴いているような感覚で、何を言っているかは分からないけれど、良い! みたいな。
國吉 パッションだ。
一同 (笑)。
──渋谷さんはどのようにお声掛けいただいたのでしょうか?
渋谷 3〜4年前、知り合いが「くによし組」の作品に出演していることをキッカケに知りました。こんなに面白い劇団があるんだと、ぜひ機会があったら出たいなと思いました。丁度「くによし組」のオーディションが行われるということで受けたのですが、「すごく楽しかった!」で終わっちゃって(笑)。これは絶対落ちたなぁ、と思っていたのですが受かっていたので驚きました。それから何度も作品に呼んでいただけて嬉しい限りです!
『チキン南蛮』の初演も観に行ったことがあり、面白くて大好きになりました。初演のピースケ役は小林義典(クロムモリブデン)さんが演じてらっしゃって、独特な世界観で役にハマっていたので、自分も頑張らないと、と思っています。
──台本読みを聞いて、すでに新しいピースケが誕生しているなと思いました。オーディションで楽しいと感じた気持ちで、今でもそのまま続けられているのは素晴らしいですよね。ずるさんは、國吉さんからオファーが届いたそうですね。
ずる 去年、國吉さんからオファーをいただきました。丁度、お話をいただいた時は脚本や演出を経験して、舞台に立つのが怖くなっていた時期でした。というのも、自分と一緒に作品を作ってくださった役者さんが、すごい真摯で誠実な方たちばかりで。それで役者としての自分を思い出した時に、稽古場での振る舞いやお芝居をしている時の精神面で反省することが多くて、もう簡単にはできないって思ってしまったんです。 あと、初演が面白いというか、生まれた瞬間が私は好きだから、再演という形にあまり乗り気ではありませんでした。でも、『チキン南蛮』の台本を初めて読んだ時に、加奈子とピースケの会話で「言葉だ…!」というシーンにすごい泣いてしまって…。ただ、自分の創作の時間を確保したいこともあり、その感動を押し込めて断ることにしました。
それで事務所のマネージャーに「お断りしようと思います」って連絡したんですね。いつもはマネージャーも「ずるさんが乗り気じゃないならいいと思います」という感じなんですけど、『チキン南蛮』は「加奈子という役をずるさんで観たいです!」と言ってくれたんです。ずっとお仕事を一緒にしている人から役者としての自分を観たいと言ってもらえることは、すごい嬉しいことだなって…! この台本を読んでやりたいと思った気持ちを素直に受け入れて、自分の思う真摯さで一生懸命にチャレンジしようと、お受けした次第です。なので、ものすごく演じることが怖いです。すごく怖いですけど、今日全員で台本を読んで、初演とは違った面白い作品になるのかなという気持ちが湧いています!
──ずるさんにとって、加奈子を演じることは挑戦でありますね!
ずる 挑戦ですね…! 今まで、たくさん喋る役をしていたはずなのに、初めてみたいな気持ちです。今日みんなで台本を声に出して読んでみて、國吉さんのお話は一言一句を丁寧にやれば自然とノれるんだという感覚がありました。素直に読めば、言葉が気持ちを乗せてくれるなぁって。すごいなぁって。多分、これから稽古中に自分の色をつけたりしちゃいますが、素直な気持ちで一生懸命やるしかない。これからの稽古どうなっていくのかなぁと、楽しみです!
國吉 嬉しい…! ありがとうございます。
渋谷 熱い話です。
大見 ぉお〜僕が喋るハードルがちょっと上がった〜(笑)!
ずる 大丈夫大丈夫! 大見くんがいるだけで可愛いから。喋るだけで可愛いから!!
大見 (笑)。先ほど國吉さんもお話していましたが、僕は「くによし組」の違うオーディション受けていて、そこからチキン南蛮の地縛霊役をお声掛けいただきました。別の作品のオーディションを受けていたのでとても驚きましたが嬉しかったです! 元々、お笑いやコメディーが好きで演劇をするようになったので、『チキン南蛮』の脚本はとても面白くて魅力的で、演じたいと引き受けしました。
──大見さんが演じられるチキン南蛮は加奈子を優しく守ってくれそうな透明感があるので、本番で見るのが楽しみです!
※以降、ネタバレです。
──では、みなさんは『チキン南蛮』のどのような場面がお好きでしょうか?
永井 点と点が繋がるような、ラストシーンに向かっていく展開が大好きです。僕は初演の時、裏に隠れてラジカセを遠隔操作しながらお客さんの反応を見ていたので、チキン南蛮がみんなに憑依していく様を「どうだ〜面白いだろう!」と思っていました(笑)。あのラジカセを操作するために、2メートルぐらい近づかないと届かないかったから大変だったなぁ。
國吉 それより出ると客席から腕が見えるぞ、って。
渋谷 (笑)。僕もチキン南蛮が憑依してくれたことで、ピースケがみんなと会話できるシーンが好きです! ピースケはインコだから、ただ機械的に言葉を発生しているじゃないですか。やっと流暢に会話ができてね。
ずる ピースケの役、すごく魅力的で私も演じたいですね~! ただ思ったことを口にするのがめちゃくちゃカッコいいじゃないですか…!
渋谷 僕もこの作品で何を演じたいと言われたら、絶対にピースケです。ピースケを演じられるのがめちゃくちゃ嬉しい!
ずる そう思うと、チキン南蛮はみんなにずっと話を聞いてもらえないですよね。しかも、あんまり意思疎通が取れないから…。
大見 僕はピースケとしか喋れない…。誰も聞いてくれないから、自然体で話していても、どんどんモノローグ寄りになっちゃうから難しいです。
渋谷 「くによし組」の作品は、モノローグで「初めまして、主役です」という感じに始まる作品いくつかありますよね。
國吉 少し前に、主役の人が主役に見えないなぁと思ったことがあって、じゃあ先に言えばいいんだ! ってなったんです。
渋谷 画期的なアイデアですねぇ。
ずる 私はチキン南蛮に憑依されるから、大見くんチキン南蛮ができて嬉しいなぁ。男性役をずっとやってみたくて。
大見 みんな、僕になりますもんね。僕は、こんな感じに見えているんだなぁ〜って思っています。
渋谷 もっと爽やかなチキン南蛮になれるように頑張ります!
──そして、國吉さんからみなさんに質問です。國吉さん、お願いします!
國吉 「あなたにとって食事とは?」
一同 おお〜!!
(皆さん深く考えはじめる)
ずる そうですね…私は、食事は「喜び」、だな。なんで加奈子ちゃん、食べないんだろう。自分は吐くのは嫌ですね。クサイしすっごく大変だし。
永井 そうですよね。僕にとって食事とは…う〜ん。ご飯を食べないと人はイライラするんだという感覚が昔より分かるようになった気がします。昔は食べなさすぎが原因だということに気づけなかったから。最近はお腹を満たすだけでなく、いろんなエネルギーになっているんだということを感じながら、食事ができている気がします。
渋谷 僕は食事が楽しみな反面、ちょっと怖い部分もあるなと思っています。僕自身、ストレスが溜まると食に走る傾向があり、4~5年前はストレスが溜まると、毎日夜遅くに弁当2個やケーキ、ポテチを食べていました…。1ヵ月経たないうちぐらいで、5キロぐらい太っちゃって。食事だけが楽しみになりすぎてしまうと、危うい一面もあるんだなと思いました。
──自分の身体と会話をする難しさがありますよね。大見さんは料理にハマっていると仰っていましたね。
大見 僕は暇さえあると頭の中で1週間ぐらいのザックリとした献立を妄想しています。毎日食事をするのなら、1番美味しいと思える時に好きなものを食べたいんです。特にお酒飲んだ翌日は、「辛ラーメン」が食べたくなるんですよね〜。
渋谷 分かります。
永井 胃が荒れちゃいますよー?
大見 だからこそ、食べられる時に食べておこうという感じです(笑)!
ずる 胃が若いうちにね(笑)。
──では、最後に、『チキン南蛮』を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いいたします!
永井 『チキン南蛮』は加奈子という個人の食事にまつわるお話でありますが、観ている人たちにとっても共通することであると思うんです。老若男女、より多くの皆さんに観ていただけたら嬉しいです…!
渋谷 『チキン南蛮』を観て、自分も演劇をやってみたいなと思えるキッカケになったら! 「あぁ演劇って面白いな」と、思い出に残る作品になってくれたら嬉しいです。
大見 地縛霊が出るという、日常にちょっと不思議が入り込んだ世界観なので、すごく観やすくて面白いと思うので、誰でも気兼ねなく観に来てください!
ずる スッキリしたい人に…! スッキリしたい人は観に来てください‼︎
──『チキン南蛮』本番、楽しみにしています! 本日はありがとうございました。
【キャストプロフィール】
○小野寺ずる Twitter id=@zuruart
気仙沼生まれの脚本演出、お役者、糞詩人、ド腐れ漫画家。
【漫画連載】日刊SPA! 『小野寺ずるのド腐れ漫画帝国』
【取材連載】えんぶ『小野寺ずるの女の平和』
http://zurulabo.oops.jp
○渋谷裕輝(しぶやひろき) Twitter id=@chocoegg72
1990年11月9日生まれの32歳
野球とお笑いと映画が好き。毎日ホラー映画を一本観るという企画を誰に言われるでもなく勝手にやってnoteに感想を書き続けている。お気に入りは「it」と「黒い家」。これを書いている日に観たのは「黒い乙女-A-」。
○大見祥太郎 Twitter id=@glgl_life
2003年1月9日生まれ
【出演歴】
シベリア少女鉄道、アガリスクエンターテイメント、劇団イン・ノート
○永井一信
奄美大島出身。くによし組の劇団員。
好きな食べ物はチーズ。SNSなどはやってない。
【公演詳細】
★くによし組新作・再演、2本上演★
再演
『チキン南蛮の夜』
○あらすじ
ある日、チキン南蛮は過食嘔吐癖のある加奈子に吐かれ、無念から地縛霊になりました。
友達のいなさから発狂しそうになった加奈子はインコを飼い始めましたが、相手は鳥。そうそう思い通りにいきません。そんな中、初めての彼氏が出来ました。
これは依存症の女の子とチキン南蛮の地縛霊とインコとプレイボーイが出て来る、チキン南蛮を消化するまでのお話です。
○出演
大見祥太郎
小野寺ずる
渋谷裕輝
永井一信(くによし組)
新作
『なんもできない』
○あらすじ
雨の日、化石発掘バイトは休みになります。
雨の判断は人それぞれなので、間違えて来てしまう人もいます。
誰に怒ることも出来ません。自分の判断が間違っていたからです。
せっかくなので、雨が止むまでラジオを聞きます。
ラジオでは、脳みそ半分手術の実況中継をしています。
そういえばさっき、不思議な骨を見つけました。
これは、誰にも聞こえない、僕らの声です。
○出演
函波窓(ヒノカサの虜)
菊川耕太郎(サルナミリビドーズ)
芝原啓成(オイスターズ)
末安陸(guizillen)
てっぺい右利き(パ萬)
山田健太郎(やまだのむら)
永井一信(くによし組)
○スケジュール
「なんもできない」・・な
「チキン南蛮の夜」・・チ
5/16(火)19:30な
5/17(水)19:30チ
5/18(木)14:00チ/19:30な
5/19(金)14:00な/19:30チ
5/20(土)14:00チ/19:30な
5/21(日)13:00な/17:00チ
※開場は開演の30分前。
○チケット[全席自由・当日精算]
・一般3500円
・18歳以下2000円(証明書要提示)
・応援チケット5000円(くによし組が今後ももっと元気が出るチケットです。ご観劇日当日、受付にて國吉からのお手紙をプレゼントいたします。)
※当日券は上記に+500円
・2作品割 6500円
※2作品割をご予約のお客様は、初回ご観劇時に全額お支払いいただきます。
お支払後は、2作品めのキャンセルによる返金対応は承りかねますので予めご了承ください。(日時変更はお席のある限り可能です。)
○劇場 OFF・OFFシアター
〒155-0031
東京都世田谷区北沢2-11-8 TAROビル3F
ご予約は下記からお待ちしております。
お問い合わせ(くによし組)
kuniyo9110@yahoo.co.jp
皆様のご来場、心よりお待ちしております。
よろしければサポートをお願いいたします。今後の活動をもっと元気に頑張れます。