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人生に目的はいらない。映画『ソウルフルワールド』の感想

✳︎若干ネタバレあり✳︎

ピクサーはとんでもない
大人向けの傑作映画を出してきた。

今年で観た映画の中で1位だな。

予告を観たときから、
絶対に好きなやつ!って
確信してたけど、
期待をはるかに超えて、
人生の結論みたいな映画だった。

あらすじは、ジャズピアニストになる夢をずっと追いかけていた主人公が、やっとライブで演奏をするチャンスを掴んだのに、その直前にマンホールに落ちてしまい死んでしまう。そして、その魂は死後の世界に行くはずが、生まれる前の魂が集まるところへ迷い込んでしまう。そこで生まれたくない、生きることを望んでない1人の魂と出会う。

生きたい魂と生きたくない魂の
冒険が始まるわけだけど、
この映画で描かれる哲学が
本当に最終的に
人が一生生きた後、
たどり着くような答え。

私たちは何のために生まれたのか?
何を目指すべきのか?
自分は何者なのか?
どうなりたいか?

思えば、これらの質問を
自分に問いかけるようになったのは
いつからだろう。


物心ついたときから、
すでに何かを頑張ってた気がする。
勉強とか、いい子でいるとかね。


子どもの頃によく聞かれる
「将来の夢はなんですか?」
という質問をきっかけに、
いろいろ夢を広げてみた。

夢を持つことは素晴らしいって
そう思うようになって、
一生懸命夢を描いた。

夢に向かって頑張ってる人が眩しくて、
自分が情けないと思うこともたくさんあった。

夢を持つこと、努力すること、
目的を持つことが良いことである。
そうであるべきとも思った。

いつの間にか、
夢を叶えることが
幸せになるとイコールになり、
夢を叶えなければ
幸せになれないって
なんとなく思考がそうなっていった。


そして、夢を叶えられない自分に
たくさん絶望した。

一方で、叶えた夢に対しても
100%満足することもなかった。

子どもの頃も、
10代のときも20代のときも、
今もずっと同じ問いかけをしている。

そして、今も何かやる度に
理由を求められ、
目標を立てろと言われる。

ただ、この映画は
まったく違う一面を見せてくれたのだ。


「人生に目的はいらない」

夢がなくてもいいんだ。

あのディズニーが、
「夢がなくてもいい」っていう
メッセージを出してくるなんてすごい。

常に何者なのか?
何者かにならないといけない 
って思いながら
悲鳴をあげている現代社会に
刺さるメッセージ。

本作は究極の自己肯定感映画。


本当は、存在してるだけで、
息してるだけで、素晴らしいこと。

人のために役に立つ人間になっても、
ならなくてもいいし、
頑張っても頑張らなくても、
どの命も価値ある命のはず。

なのに、
人間社会で勝手に誰か作った、
もしくは勝手に作られてきた
物差しを基準に、
「頑張らないと価値ないんだ」って
思う人がたくさん増えて、

子どもの頃から
そういう戦いをさせられるなんて、
そりゃ自己否定につながっちゃうよね。

みんなが勝てるならいいけど、
勝てるのはごくわずか。
勝つことが正義の弱肉強食の世界で、
負けた人たちはどうなるんだろう。

勝利とか目標を達成することが、
イコール幸福ではない。

ここがきっと見失いがちなところ。

幸せになる秘訣は、
今ここにある幸せに気づく。

やっぱりね、これなんだろうなぁ。

朝起きて、深呼吸して、
風を感じて、太陽を感じて、
空を見上げて、
本来はそれだけで
人は幸せを感じれるはずなのに、

より多くの物を求めて、
SNSの反応を気にして、
他人の評価が自分の価値と勘違いして、
常にここにない幸せを
追い求めてしまうのは、
映画中に出てくる海を
求めていた魚の話と同じ。

魚は海を探してたけど、
実はすでに海の中を泳いでたんです。
でもそれに気づかない。

永遠に探しても、
そこがすでに海だって気づかなければ、
彼の夢は叶うはずがない。

私も、海を探してた魚と
同じだったかもしれないって思った。

私たちは、もうすでに海の中だ。
目の前にもう海がある。

毎朝、起きるときにこのことを
思い出したいと思ったし、
なんだか幸せになれる作品だった。

また何度でも観たいと思う。 
今年のベスト!

やはりピクサーはすごい!
拍手を送りたい。

1本の映画に詰まってる
哲学と生きるヒントは計り知れない。
最高の教科書だと思う。

Karo

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