「加山又造と大磯」(大磯町郷土資料館)
戦後日本画の代表的人物の一人である加山又造が晩年、大磯に在住・活動していたことにちなんだ企画展。
絵画展というよりは資料展に近い内容ですが、彼の興味深い部分を色々と垣間見ることのできた展示でした。たとえば長男・哲也の出生をきっかけに、端午の節句の調度品として描いた《鍾馗像》(1954)ですが、当時の日本画壇ではこのような「調度品」を描くこと自体が純粋芸術を目指す「画家」の仕事ではない、「職人」の仕事として敬遠されていたとのこと。
加山自身も当初そういう認識だったらしいですが、本作の制作を通じてその認識を改めていきます。その変化の現れか、彼は今でいうところのコラボレーションワークを積極的に行っていきます。
中でも目を引いたのはCG。1995年のパソコン、インターネットの普及をきっかけに取り組みを始め、飼っていた犬を題材にいくつかの「イラスト」を残しております。(加山自身の認識として)技術的にはまだ「作品」として高められるレベルではなかったようですが、彼の持つ関心の幅広さを感じさせるエピソードです。たとえば今流行を超えて脅威としてすら捉えられているAI画像生成をどう観ていたのか、気になるところではあります。
今後加山又造に関する美術展が開催されたら興味を持てる、そういう良いきっかけになってくれそうな展覧会でした。
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