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「柳原良平 ごきげんな船旅」(茅ヶ崎市美術館)

 酒好きでなくてもなんとなく知っている、トリスウイスキーの「あいつ」(正式名称:アンクルトリス)でおなじみの柳原良平。そんなトリスに代表される広告イラストレーターとして活躍する一方、筋金入りの船舶好きでもあり、2015年に亡くなる直前まで船舶を題材とした絵画展を開催し続けた画家でもありました。

 前半はそんな柳原のイラストレーターとしての顔から。
 柳原は京都市立美術大学(現在の京都市立芸術大学)を1954年に卒業後、寿屋(現サントリー)に入社。アンクルトリスに切り絵を使うようになったのは彼の上司である山崎隆夫のアイデアだそうですが、そのルーツには大学時代の教官だった上野リチの存在も大きかったようです。色紙による明快な色彩とともに輪郭線の存在が影を潜め、彼のイラストはよりクリアなものへと進化していきます。キャッチコピーとの相性も素晴らしいです。写真撮影は今回×だったので、気に入った開高健のコピーを二つほど引用しておきます。

磁石も地図もいらないが
もみじの知らせが嬉しい頃は
ただ胸張ってトリス持ち
一日、二日でかけてみたい

開高健、1956.11

「人間」らしくやりたいナ
トリスを飲んで
「人間」らしくやりたいナ
「人間」なんだからナ

開高健、1961.2.18

 展示室では「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」キャンペーンのテレビCMも放映。昭和中期らしい音楽とともに展示室がハワイアンな、とても楽しい雰囲気をまとっておりました。

 後半は画家としての柳原を中心に。
 柳原は筋金入りの船舶好きで、船舶による旅行も大好きということで、彼の画業は船舶、港、それにまつわる人々の姿がほとんど。個展は1983年から、亡くなる2015年まで続けられたそうです。
 柔らかなタッチの水彩は描かれている世界を捉え、油彩は的確な表現で、金属のような重量感が伺えます。柳原の代名詞と言えるポップな切り絵もイラストレーションの時とは若干違い、より細かく、本格的な画風に仕上がっておりました。

 個人的には当初イラストレーターのイメージがどうも強かったんですが、こういう姿を見ると、この人はむしろ「画家」なんだなぁと。コレクションは横浜みなと博物館にあるとのことで、(そこまで遠いというわけでもないですし)機会があれば訪れてみたいです。

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