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常々無常流々流転 No,168近代慨念のわかりやすい話と昔のわからない話の大切さ 釈行信

 ブッダが生まれた時、「天上天下唯我独尊」とおっしゃった伝説があります。現在の日本では「全てのものが私と同じように大切である」という訳が多く語られています。

これは「唯我独尊」の文字の意味と違いますね。学術的には世の迷いと全く違うブッダの誕生を表して文字通り「唯だ我独り尊い」「世界で初めての人」の意味だと言われています。

 でも「全てのものが私と同じように大切である」という訳が日本で多くの人に受け入れられて語られています。それが「わかりやすい話」なのです。

 わかりやすくされた話は近代以降の自由、平等、進歩などの価値観に置き換えられて語られた話が多くあります。ここでは『悟り』を近代の『平等』概念に置き換えています。自分は近代概念のまま変わらなくても、近代以前に発生した『悟り』を「『悟り』は近代概念の『平等』だよ」と自分に合わせて話してくれるわけです。だからわかりやすい話は悩まずにスルリと理解できます。

でもそれは、近代以前に発生した『悟り』を本当に理解しているのでしょうか?聞く前と後で、私の世界観は何か変化してますか?少なくとも近代以前の世界は知らないままです。

もちろん「全てのものが私と同じように大切である」という訳は現代人が仏教に触れる入口として役割を果たしています。一方で話の内容を変えて示しているものをわからなくしているのも事実です。今の自分から一歩踏み出すためには、私のものではない言葉に出会う必要があるのです。

南無阿弥陀仏

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