夏の世界

蝉の声が鳴き出す頃
青い空に君の声
透き通ったガラス玉
気泡の中に閉じ込めた
居なくなった君の
声がいつまでも
閉じ込めてあるんだ

虹色のプリズムが
青い空に描かれて
透き通ったガラス玉
気泡の中に閉じ込めた
消えてしまった君の
面影をいつも
閉じ込めてあるんだ

ベランダから眺める空は
ちっとも変わらない
吹き抜ける風も
ちっとも変わらない
僕の目には涙
眩しくて悔しい
夏の日の思い出

君の声はガラス玉
割ったら弾けて
耳に残るよ
気泡の中から
閉じ込められた声が踊るよ

それをしたら最後だってさ
何もかもが
それでも僕は
割るよガラス玉

飛び散ったガラスは
キラキラと光って
いくつもの魂みたいに
誰かの心に潜り込む
ささくれた気持ちに
潜り込む

傷にならずに
破片でメチャメチャに
かき回されて
誰かが
誰もが
気付くんだろうな
君がいない世界ってやつを

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