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播磨陰陽師の独り言・第453話「鹿肉の味」

 久しぶりに鹿肉を食べました。
 妻の実家から、
「鹿肉を貰ったので取りに来て」
 と言われたので、てっきり蝦夷鹿をもらったのかと思いました。しかし、肉を見てみると本州の鹿肉でした。しかも、近所の人からもらったそうで……九州産の鹿肉でしょうか……蝦夷鹿とは違って少し硬めでした。いずれにしろ鹿肉は好きなので嬉しかったです。YouTubeで奈良や宮島の鹿を見ても、
——美味しそう。
 としか思わないくらい大好きです。
 あの、少し癖のある味が、とても良いと思います。
 蝦夷鹿の方は、燻製が一番美味しいと思います。平安時代以前から、鹿肉と猪肉は食べていた形跡があるので、多分、当時も燻製だったと思います。
 以前、五節句の由来にも少し書いていましたが、正月と六月一日には鹿肉や猪肉を噛み締める風習がありました。硬いと言っても、普通のステーキ状態では知れているし、しかも、真冬に食べるとなると、燻製にしたとしか考えられません。冷蔵庫のない時代、当然、生肉はもちません。
 最近は農業に対する鹿害が増えているそうです。鹿こそ良い食糧になるので、もっと食べたら良いと思います。鹿は、病気にかかりづらく、すぐに増えて大きくなります。肉を育てると言う意味では簡単で効率も良い生き物だと思います。牛肉に比べて……つまりステーキなどにすると味は落ちますが、もっと様々な調理方法を考えると、美味しく食べることが出来ると思います。
 鹿肉は、欧州では高級食材として知られています。欧州ではウサギやカタツムリも食べますが、鹿の消費も多いと言います。
 わが国では、他の一般的な肉類……牛・豚・鷄肉に比べて流通が少なく、馴染みの薄い食材かも知れません。しかし、低脂肪・低カロリー、鉄分も豊富な食材として知られています。こんな良い肉を食べない理由が分かりません。
——信仰上、食べることがないから……。
 と言う方もいるかも知れませんが、その信仰上と言うのは一部の地域のことです。古来から食べていた地域もあります。しかし、明治に入ってから食べなくなりました。
 鹿肉にしても、猪肉にしても、もっと食べたら良いと思います。ウサギはペットで飼っていることもあり、目の前に料理されて出されても箸が止まりますが……。
 ちなみに上野の西郷さんは、ウサギ狩りの服装だそうです。

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