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播磨陰陽師の独り言・第二百三十二話「スノーモビル」

 北国の出身でない限り、スノーモビルに乗った経験のある人は少ないと思います。スノーモビルは、雪の上を走るバイクのようなやつです。
 はじめてスキー場でスノーモビルに乗ったのは、確か中学生くらいの時だったと思います。バイクは道路交通法の範囲なので、免許がないと運転出来ません。しかし、当時、スノーモビルはスキー場の端を走っていたので、道路交通法の適用外だったのです。ちなみに、私がスクーターに乗ったのは大人になってからのことです。
 スノーモビルは雪の中を走るには、かなり快適な乗り物でした。バイクと同じような感じですが、バイクよりも安定しています。バランスを崩してこけたりはしません。でも、走っていて吹雪になったら、動きようもなくなります。
 そう言えば、スノーモビルで走っている時に、野良犬や野良猫が前を横切ったことがありました。その時は何の不思議さは感じませんでしたが、今にして思えば不思議な話です。なにせ、マイナスの三十度より寒くなる世界で、外で元気に生きているのですから……。熊ですら冬眠する時期に、いったい何を食べて生きているのでしょうね?
 真っ白なウサギも雪の中で見たことがらあります。わが家のうさぎは寒さに弱そうなのに、
——自然は強いなぁ。
 と思います。家のウサギなら、多分、すぐに死ぬことでしょう。従妹いとこの家では、外でウサギを十羽ほど飼っていましたが、やはり外で飼っていました。真冬でも家に入れたり暖房を使っていたような話は聞かなかったので、
——ウサギは寒さに強い生き物だ。
 と思っていました。
 雪の中でスノーモビルを止めると、そんな野良の生き物たちがよって来ます。エンジンが温まっているので、そこを目掛けてやって来るのです。冬場の野生の生き物は、車を駐車すると、その下に集まります。あれも暖をとっているつもりなんでしょうね。

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