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不幸のすべて・第三十六話「ポジティブ対ネガティブ」

 前回は、

——ネガティブな言葉であった時、常にあなたの心がネガティブな感情に影響されるのです。

 で終わりました。今回はこの続きです。宜しくお願い致します。
 さて、ネガティブな感情をともなう動作は、それを行う人の心をネガティブな方向へと導きます。
 たとえ、普段からポジティブ思考をしていたとしても、動作が変わるだけでネガティブになってしまうのです。
 私がまだ若い頃、良く師匠が、

——困った人は必ず下を向いて悩む。

 と言っていました。
 そして師匠は両手をあげ、空を見る動作をしながら、

——こうして、あぁ困ったと言う人を一度も見たことがない。

 とも言っておられました。
 また、別な師匠は、

——猫背になって首が痛いからろくなことを考えぬものぞ。

 と言っておられました。
 多くのどこから来るのか分からない種類の不安や、それに付随ふずいする悩みごとは、頭をあげて少し天をあおぐようにすると改善する傾向があります。
 心理学の一派に〈動作法〉と呼ばれるグループがあります。このグループはクライアントの動作を真似することにより、その人の心の内を知ろうとするものです。
 悩みを持つ人と同じ姿勢や動作をすると、より適切に解明出来るようになると言っていました。人は姿勢や動作を正しいものに変更すると、自然に悩みが消えて心が良い方向へ向かうと言っていました。
 これに似たものはわれわれ播磨陰陽師の技法にもあります。『不幸のすべて』第十八話でも触れていますが、

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