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絵に心が表れたとき

「長女の絵には心が表れる。」そう確信したのは、4歳1ヶ月の長女を造形教室に連れて行った時のことです。

その造形教室には長女の友達が通っていて、長女は友達と絵を描くのを楽しみにしていました。

しかし、初めての場所、初めての人…。
「これを描いてみよう」
「これに色を塗ってみよう」
という先生の言葉に対し、どうしたらいいかわからない(やりたくない気持ちもあったと思います)長女の心が思いっきり絵に表れました。

造形教室にて 4y1m


この時、私は平静を装っていましたが、内心かなりハラハラしていました。

大声で泣き出すんじゃないか
暴言を吐くんじゃないか
道具を投げるんじゃないか

色々な想像をしましたが、娘は小声で「帰りたい」などぶつぶつ言いながら、手には渾身の力を込めてこの絵を書き上げました。

社会性という面では褒められた行為ではありませんが、殴り書きすることで感情を抑制して偉いなと感じました。

そしてこれが2枚目。これを描いている時にはだいぶ気持ちが落ち着いていました。

「何の絵?」と聞くと、

「朝の爆発(-_-)」と。

自分のことかい!と少し笑えたんですが、
自分の気持ちを客観視して絵に描けるのかと驚きました。

枠の中の爆発。そして枠の外にある太陽。
意味深です…。

長女の絵をさかのぼって見てみようと思ったきっかけでした。


【自己紹介】

名前: カリカ
(2〜3歳頃まであった、長女のこだわり「カリカリおやつ」からきています。空想のおやつで、ポケットにいつも忍ばせて「カリカリいる?」とよく分けてくれました。)

特別支援学校教員(育休中)
長女:4歳4ヶ月年中
→ASD(自閉スペクトラム症)疑い
次女:0歳10ヶ月


https://www.shinga-s-club.jp/column/子どもの「絵心」を育てるために親ができること/

①なぐりがきの時期
≪擦画期〜錯画期≫

http://blog.livedoor.jp/humon007/archives/762071.html
1y4m
1y4m
1y7m
1y10m
1y11m

②象徴期(2歳~3歳頃)
自分が書いたものに名前をつける

アンパンマン 1y11m
2y4m
2y6m

年少クラスになって


明るい絵もありますが、トゲトゲした感じが伝わる絵が増えてきます。
色的にも黒が増えてきていました。

4月 保育園で描いた絵 3y頃
4月 保育園で描いた絵 3y頃
4月 保育園で描いた絵 3y頃
「風船全部燃えちゃった」3y6m
「つかまっちゃった、逃げろー」
3y6m
「つかまっちゃった」=檻に入った何かの絵
3y6m


縦と横の線は部屋というより、柵や檻をイメージしている様子でした。

こういう、枠のついた絵はこのように周りに先に枠を作って描き始めます。


枠の意識が芽生えた=「はみ出さないように」という意識が働き始めた

ということでしょうか。成長を感じつつも、少し複雑な気持ちになります。

というのも、先に挙げた2y4mに保育園で描いた絵にもよく見ると枠がついていました。ちょうど、集団活動が始まって、参加できず先生と手を繋いで端っこにいると聞いたのが、2歳児クラスの時でした。

気になるnoteの記事を見つけたので貼ります。

そして、アートセラピーで習った「枠付け法」を思い出していた。
子どもの描いた枠線は黒ではなかったが、この枠の中にぐるぐる線を描きはじめたとしたら・・・。
抑えていた感情が溢れ出てきてしまうのではないか。

画面の端に黒サインペンなどで枠を引くことにより、被検者の内的表現を保護する方法を、絵画療法では使う。
風景構成法の時にも、枠があることで心の中が浮き彫りになる。
内面を保護しながらも、表現することを強いるという、二重の性質が生じるとされている枠付け。

自由にはみ出して描けるか 
LUNA.N.
note

長女はこの「枠付け法」を誰にも教わったことがなく、強制されたこともなく、自発的に行なっています。枠をつけることで内面を保護しつつ、そのなかで半ば強引に心を解放させ続けてきていたのかもしれません。無意識でそこまでできるものなのかわかりませんが、実際そうなってしまっているので、本人にとってはセラピーになったのだと思います。
毒か薬かは紙一重ですが。

思い返せば、この枠の絵を頻繁に描いていた3歳前後〜4歳頃が一番こだわりが強かったかもしれません。

同時期、丸を羅列する絵も始まっていました。
色を替えながら黙々と丸を描いているのが、どこか精神統一をしているように見えました。

3y6m


グルグル丸(2歳ころ)
グルグル丸は絵の笑顔、塗りつぶしは絵の泣き顔。と言われています。手の機能だけでなく、気持ちを拡げる行為でもあります。

奥が深い子どもの絵〜ごはんを食べるように絵を描く〜hachi☺︎
note

現代のエスプリ413号(2001年12月号)「表現と癒し」特集。「イメージと人格の変容」山上雅子氏の文章。
『この丸の構成による中心イメージは、「マンダラ構成」ともいわれる世界中の3才から4さいころの子どもの自由画によく現れる様式だが、年令にかかわらず、「自分の中心を見いだして新たな自己を確立する」変わり目の時に心的イメージとして現れるのだ』という話があった。へ〜。子どもがぐるっと丸を描くのは(細胞分裂のような絵)大事だと理解していても、この丸が、実物とは違う初めての抽象画「シンボル」で、深層心理・「集合的無意識」につながっているのだそういえばあの人も丸を繰り返し書いてたけど…自己確認をしていたの時期だったのか? 

http://blog.livedoor.jp/humon007/archives/762071.html

③カタログ期
自分の知っているものを描く

丸を並べて描く絵が終わる頃、形が表れてきました。模写も始まり、自分の名前もひらがな表を見ながら書いていました。

上下:雲 左:星 中央:ハート 右:月
3y9m
ノンタン(三角は描けないのでスタンプ)
絵描き歌を歌いながら
3y11m
アンパンマン
3y11m
スイミー(絵本を見ながら)
4y
スイミーに出てくるマグロ(絵本を見ながら)
4y

④図式前期
空間認識が生まれる

4歳になって、なんとなく形の模写ができるようになったなあと思ったら、
あっという間に図式前期がやってきました。

左:夢の中で桜を見ている自分
右:ベッドで寝ている自分
4y

地面と空が表れました。
認知面では5歳くらいの発達といえるようです。

地面の上には花、木、池
空には太陽、雲、虹

この頃の絵には
シャボン玉、風船、虫、ハートなどがよく出てきました。

4y1m
4y1m

最初の真っ黒な塗り潰しの絵を描いたのがちょうどこの時期だったので、本当に衝撃的でした。普段はこんなファンタジーな絵ばかり描いていたので、そんなに嫌だったのねと思わざるを得ないというか…絵ってここまで気持ちがはっきり出るものだということを知りました。

お化粧ノンタン(服、靴、鞄が登場)
4y1m
妹(指が登場)4y2m
ママと自分(鼻と耳、胴体が登場)
4y2m
パパと自分 みかんの木  シャボン玉 アリさん
「みかんどうぞしてる」
4y2m

4歳2ヶ月頃までは、このような感じで模写をしたり、好きなものを一つの紙面に散りばめてイメージで描いていたりしましたが、4歳3ヶ月になって、またテイストが変わりました。

見たものを覚え、想起して描いたり、体験したことも描き始めました。

おかあさんといっしょで出てきた絵を思い出して描いた絵がらこちら。その日ではなく、数日後でした。

4y3m
元絵

動物園でナマケモノを見たあとは、

ナマケモノ4y3m

このような感じで、場面の絵を描いていました。

チームラボボーダレスへ行ったあとはすごかったです。何枚も何枚も、光と影の絵を描きまくっていました。

チームラボボーダレス 4y3m
チームラボボーダレスにて①
チームラボボーダレスにて②

視覚刺激、光の刺激は物凄く脳に伝わるのだと感じざるを得ませんでした。

最後に、
海に行ったあと描いた絵がこちらです。
夕方、長女は夫と手を繋いで、水に一緒に足をつけて遊びました。夕陽がとてもきれいな日でした。

海 4y3m

コロナでずっと旅行も行けていなかったし、海も見ていませんでした。本人にとってはほぼ初めての海。

夕方、帰る間際、デッキで声をかけたら
「気付いたらぼーっとしてたよ。明日もくる?」って。

長女には、こういう時間がもっともっと必要なんだと知りました。

絵の話とは逸れてしまいましたが、考えさせられる出来事でした。

ちなみに自己流で感覚統合や運動療育(外遊び中心)を始めたのは、3歳8ヶ月頃から。3ヶ月後には模写が始まりました。

発達支援.comに登録して勉強し始めたのは3歳10ヶ月頃。そこからバルンポリンや平衡感覚刺激を意識した運動やらをして…3ヶ月後が4歳1ヶ月。突然図式前期がやってきたあたりです。

そう思うと、いきなりどかんと絵が変わった理由に繋がるような。途中、リンクを貼ったhachi☺︎
さんのnoteを見れば分かるのですが、長女の絵は圧倒的に手が不器用です。でも、身体に対する療育的アプローチを始めると、
グルグル丸(2歳半頃)
→ハートなどのカタログ期(3歳頃)
→図式期(5歳〜)
に移行。この間、半年程度です。しかもまさかの頭足人(4歳)はスキップ

認知面が5歳程度までしっかり育っていたということだと思います。それを表現する機能が育っていなかっただけで。

頭の中でどんなにイメージを膨らませることができていても、体が使えるようにならないと、絵で表現することはできません。

思っていることがあっても内に秘めている、本当はやりたくてもできない気がして挑戦できないなど、周りにうまく伝えられない・表現できないストレスはかなりのものがあったと思います。

「◯◯の気持ち、分かってよ!」と泣かれたこともあります。

長女は絵が描けるようになって、自己表現ができる楽しさを知り、たくさんの絵を描くようになりました。絵に気持ちをぶつけることもあり、今後、絵は娘にとって必要なものになっていくと感じています。

また、周り(園の先生や療育の先生たち)とも絵を通して場面を共有することができて、人と関わる、分かり合える楽しさを感じているようです。

絵って、大事な自己表現ツールなんですね。

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