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うちの白いハンサムくん

我が家には白いハンサムくんがいる。

ハンサムくんは、大きい。
ハンサムくんは、足が長い。
ハンサムくんは、口も大きい。
ハンサムくんは、目は小さい。
そしてタレ目である。

今からちょうど11年前の2月。
ハンサムくんとの出会いは、突然だった。

その頃の私は、昔飼っていた犬を亡くしペットロスを克服してきたような状態だった。

当時動物病院に務めていた私。
昼からの出勤で、いつも通り出勤した。

待合室には昔どこかで見たような白いふわふわした子犬が1匹。

「この子、どうしたんですか?」
『実は、迷い犬とゆうか……」

先輩が言うには、猫ちゃんで通院している飼い主さんのご近所さんの家の前でウロウロしていたらしく、門が空いていたし、犬を何頭か飼っていたそうなのでお宅の子では?と訪ねたけれど

「勝手に出ていくような子はうちにはいません!」
と、突き返されたらしく、途方にくれて連れてきた。とのことだった。


その話が本当かどうかはわからないけれど
ハンサムくんは、子犬だけどあきらかに大きくなる足をしている。
この子の里親を探すのは難航するだろうなと、スタッフ全員が悩んだ。


しばらくしても子犬のハンサムくんは、子犬なのに目が死んでる。
心を開いていない。
推定で2~3ヶ月くらいの子犬なのにどこかおかしいのじゃないか。
調べても至って健康。


生まれてから何があったのかわからないが
人に慣れさせないといけない。
とりあえず、うちで暫し預かり里親を探すことに。

昔飼っていた犬にどことなく似ているハンサムくんと過ごすうちに私の心も癒やされた。


里親探しは案の定難航した。
それに加え、尿石症が見つかった。

大型犬になるであろう子犬。
そして処方食を食べて育ててもらわないといけないと、条件がより厳しくなっている。


前の犬を亡くし、絶対に犬は飼わない。飼えないと思っていた私にも
ハンサムくんと過ごすうちに気持ちの変化が出てきた。


今この子を飼うことにしても、同じような子がまた現れたらその時は引き取ることもできないし、今の感情だけで動いて大丈夫?

自問自答を繰り返したが、私の方がハンサムくんと離れる気持ちが持てず結局引き取る形になった。


私が20代前半のお話。
それから、山あり谷ありな濃厚な日々を共に過ごし、3回の引っ越しを経て今に至る。



ハンサムくんと過ごして11年。
時には独身女、戸建て借家に住み、大型犬を飼っていたので独身街道まっしぐらだと言われていたし、思っていたが

今では家族も増え、ハンサムくんも立派なお兄ちゃん。
いや、おじいちゃんかな?



ハンサムくんは、大きい。
ハンサムくんは、足が長い。
ハンサムくんは、口も大きい。
ハンサムくんは、目が小さい。
そしてタレ目である。


どことなく舘ひろしに似ている。



ちなみに、ハンサムくんの名前は別にある。



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