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蛍火の誓い

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『蛍火の誓い』というショートドラマです。 恋人同士の永遠の愛と別れ,そして再会への希望をテーマにしています。 幻想的な夜の森,蛍や流れ星の象徴的な要素,彼岸花がもたらす儚さが織り…
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夜の森

夜の森

深い森の中,
月明かりがほのかに差し込む夜。

蛍が静かに舞い,
暗闇を柔らかく照らしている。

薫は
この場所でかつての恋人蒼との思い出を胸に,
佇んでいる。

二人は昔,
この森で蛍を見ながら永遠の愛を誓い合った。

しかし,
蒼は突然,
薫の前から姿を消してしまった。

蛍の光に包まれる再会

薫が蛍を眺めていると,
突然,
懐かしい声が響く。

「薫…」

振り返ると,
そこには蒼が立っていた。

驚く薫に,
蒼は
「戻ってきた」
と微笑む。

二人は再び蛍に囲まれ,
静かな夜の中で再会を喜ぶ。

流れ星の願い

蒼と薫は再会を喜びながら,
手を繋ぎ夜空を見上げる。

その瞬間,
流れ星が夜空を横切る。

蒼は
「この瞬間を永遠に」
と願いを込めて,
薫の手を強く握る。

真実の告白

だが,
薫は蒼に問いかける。

「なぜ、突然消えたの?」

蒼は少し黙った後,
「実は…」
と真実を語り始める。

蒼は病にかかり,
薫を苦しめないために遠ざかったこと,
そして彼岸花が咲く季節にだけ,
こうして戻ってくることができる存在になったことを
告白する…。

彼岸花と別れ

薫は涙を流しながら蒼に抱きつくが,
彼の体は徐々に消え始める。

蒼は
「また、彼岸花が咲く頃に」
と告げ,消えていく。

薫は蛍が舞う中,
彼岸花の咲く場所に立ち尽くし,
静かに夜を見つめる。

彼女の目には一筋の涙が流れるが,
その瞳には,再び会える希望が灯っている。

エピローグ

次の年,
彼岸花が咲く季節に,
薫は再び森を訪れる。

そして,
再び蒼と出会うための誓いを胸に,
夜空を見上げる。