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生と死についてありのままに

昨日、母方の祖母の葬儀を終え感じた心の綴りです。

唯一存命であった祖母でした。

非常にセンシティブになっている今の心を掘り起こして開示することは自分を傷つける行為とならないか不安もありましたが、反面、心が散乱している今だからこそゆっくりと整理する時間を作り、形に残すことでいつかの自分として振り返ることができると思い敢えて今残したいと思います。

生と死についてありのままに


さっそく時間を遡るのですが、
高校三年の夏、母方の祖父が亡くなったのですが、この時はじめて身近な家族の死を経験した僕は、通夜の開式前に葬儀場のトイレで涙が止まらなくなりました。それは祖父との思い出と、もう二度と会えないという寂しさによる心の摩擦に耐えられなかったから。翌日の葬儀でも、斎場までの出棺でも涙が溢れ出たことを今でも覚えています。

それから数年後、一緒に暮らしていた父方の祖父が亡くなり、あとを追うようにして更に数年後、父方の祖母が亡くなりました。この時の僕は既に成人していましたが、それでも大好きだった祖父や祖母とお別れなのだと思うとやはり涙が溢れてきました。
葬儀場のヒーリングミュージックと、哀愁帯びた空気感が涙腺を刺激していたようにも思います。

ですが昨日、僕は涙を流しませんでした。
我ながらその事実が何故か不思議に思えました。
正確には唯一出棺の時、目頭が熱くなったのですが自分のプライドによってそれは鎮火しました。

これは一重に大人になったのだと自負することもできるのですがやはりそれだけではないと思いました。
そもそも大人だから涙を堪えられるのではない。大切な人を偲ぶ時に溢れ出る感情は至極純粋なものであり、その差異によって大人か子供かなど推しはかれるものではない。

ではなぜなのかと自問すると、それは時の流れやこれまでの経験、趣味である読書を通じて死に対する考え方が自分の中で変化しつつあるという仮説に至りました。あくまで仮説。

以前は、死とは「永遠の別れ」を意味するものであると思い込んでいたけれど、今の僕にとって死とは「しばしの別れ」なのかなと。

この手の話に関しては、突き詰めればどんどん哲学的になってしまうし、僕は住職でもなんでもないので一個人の主観でしかないです。

ただ、
「また会える」「これからも繋がっている」
そう思えたらなんだか少し軽くなれた気がしたのです。

「空から優しく見守っていてくれるよ」
「あの世でまた仲良くやってるよ」

皆まるで言い聞かせているように話します。
常套句のように聞こえる言葉ですが、そうあっていてほしいという僕達現世側の自己満足なのかもしれません。

死後の世界なんていくら考えてもその時を迎えるまで正解はわからないし、天国だの地獄だの、輪廻転生だの全く未知の領域ですが、でも少なくとも自分はそう思うようにしました。 

祖父母がいなければ僕の父母は存在していないし、父母がいなければ僕らは存在していない。
遠い先祖の顔を僕は知らないけれど、今尚僕らの身体に流れる遺伝子として現世に繋がっている。
自分という存在もそうして遺伝子で遠い未来へと紡がれていくのだろうか。
生殖本能ってそういうことなのでしょうかね。まあ自分にはまだ子供はいないですし、授かるのかもわかりませんが。

亡くなった祖母は僕が生きている限り僕の心と身体に残り続けるし、これから背負って生きていく。

今はそう思っています。
そして、それと同時に今繋がれている家族や友達をもっと大切にしようと思いました。
これも常套句のようですが。

万物において人1人の命なんて一瞬の刹那であるのに、今同じ場所で同じ時間軸を生きているのは本当に奇跡。何気ない日常は決して当たり前と慣れてはいけない。

収骨を終え、御寺参りで住職様からの長い長い御言葉を右から左へ流しながら、心の中で自然と父母の年齢と今後について思いを巡らせている自分がいました。
あとどれくらいの時間を共に過ごせるのだろうと。

大前提ですが、妻も兄弟も友達も皆大切であり優劣などつけられるわけがありません。ただ年齢を加味するとやはり真っ先に眼前にいる両親のことを考えていました。
こればかりはいつ訪れるのかわからないですが、現代の平均寿命から逆算すると決してそう長くはないと感じてしまいました。

不幸せを体感することによって幸せの価値を洗練させることができる。
自分はつくづく愚かだなと実感しながらも、これから過ごす時間を重々大切にしたいと思いました。

親孝行をしよう。妻ともっと仲良くしよう。沢山旅行に行こう。美味しいものを食べよう。人に優しくしよう。

身体、心、お金、時間
有限である自分の資源は自分の大切な人達に向けて投下していきたい。

気づかせてくれてありがとう。


祖母の死をもって実感した今の心の綴りでした。
だいぶ乱れていたと思いますが御容赦ください。

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