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人事として一年目社員に思うこと

新入社員が入ってきて半年が経ちました。試用期間と呼べる時期は過ぎ、一人前の業務処理が要求されるようになってきました。

雑務を任される中、1つの業務にたっぷり時間をかけてしまう社員、逆に時間のかかる業務を手早く済ませてしまう社員に分かれてきました。彼らに思うことを徒然なるままに記してまいります。社会人1年目の方や、来年社会人になる方の参考になれば幸いです。



◆ 雑務は「雑多な業務」か?


業務に高尚も雑もありません。必要があるから存在する仕事です。差があるとすれば経験や技能を必要とするか、という点にあります。

「こんな仕事をしたくて入社したんじゃないのに」という声をよく聞きますが、ぼくたち上司からしても

「そんな仕事をさせたくて採用したんじゃない」のです。


本当はもっとスゴイ仕事をしてもらいたいのですが、
信用値が足りない。

どれくらいの能力があるのか、何に適性があるのか、どんな仕事を好むのか、恐らく新入社員自身もわかっていない。そんな状態で大きな仕事を任せるわけにはいかないのです。

失敗による被害を恐れてということもありますが、未熟な社員が失敗しようがしまいが

正当な評価や学習を得られないからです。


普通の小学生に微分積分のテストをさせたとき、当然ほとんどが0点でしょう。そのとき、Aくんの0点とBくんの0点を見て、どちらが優秀であるかなんてどうやって判断できるでしょう。

小学生からすれば
「こんな難しいの、できるわけない!」
と言って、成長や学習の機会を放り投げます。

また判断する側には
「小学生やから、できなくても仕方ない」
という主観が入ってしまいます。これでは正当な評価をすることができません。


こうして能力が未知数である新入社員に責任の大きい仕事を任せるのは、様々な方面でのリスクが伴います。だからぼくは

「他より早よ成長して個性と適正を見せんしゃい!」

と思うのです。
いっちょまえに腐ってる時間があったら、雑務を通して自分の能力を伸ばして、それを見せてほしいものです。それがたとえトイレ掃除であったとしても。

微分積分のテストで共に0点であった二人のどちらかを取り立てるのは難しいですが、その優劣がトイレ掃除でつくなら、ぼくはトイレ掃除名人の方に仕事を任せます。

まずは誰にも負けない雑用係を目指しましょう。ぼくよりトイレ掃除が下手な人間に、大きな仕事は任せられません。



◆ 完璧主義の非効率


完璧主義は以下二点において、とてもコスパが悪いです。


その1:勘違い突っ走り型

ぼく「この資料、校正頼む!」
部下「わかりました!」

…1時間後…

部下「全ページ校正しました!問題ありませんでした」
ぼく「ほんまに?枠線とかフォントとか、変なとこなかった?」
部下「誤字チェックしかしてなかったです…」

…30分後…

ぼく「えらい時間かかってんな、大丈夫?」
部下「あと10枚で終わります!」
ぼく「レイアウトは全ページ同じやから、
   校正するのは1ページだけでええで!」


校正業務について、ぼくと彼の間で認識の差があったということですね。細かく指示を出さなかったぼくにも非はあると思いますが、少しでも疑いがあった時点で聞いてほしいなあ、と思うのです。レイアウトが同じってことにはさすがに気付いてほしかったな…w


その2:オーバーキル型

ぼく「頼んでた数学質問の解説メモ、できた?」
部下「はい!通常の解き方と別解と、ぼくが考えた
   解き方と裏技も併せて用意しておきました!」
ぼく(定期考査前にそこまで情報量なくていいのに…)


ぼくとしては60点くらいの仕事の出来で良かったのですが、部下は120点まで仕上げてきました。やりすぎてしまった感じですね。120点を取れることは素晴らしいのですが、テスト前日に別解まで書いてしまうと、むしろ生徒は困惑するでしょうね。そこにかけた時間と労力に見合った効果が得られないとなると、非効率と言わざるを得ません。


以上の通り、やり直す・やり過ぎる可能性があるのであれば業務を終えてから報告するよりも、上司に途中経過を見てもらって、都度軌道修正する方が無駄がないですよね。



◆ 効率厨の末路


効率厨という言葉、初めて知ったのですがネットスラングなんですね。なんで厨って文字を使うのかしら。厨房?厨子??

それはさておき、効率を優先する人たちが大切にしているもの、それは時間です。効率を重視する人たちは、自らの時間を奪われることを極端に嫌います。

上司や同僚に食事に誘われても、それが無駄な時間だと感じて断り続けていると、大きな問題や時間のかかる業務にぶつかったとき、助けてくれる人間が少ない、ということにならないでしょうか。

一生懸命効率化して時間を捻出してきたのに、結局大きな仕事をするときには人が足りずに時間がかかってしまう。

目の前の効率を優先したがために、未来の効率を大きく損なってしまうわけです。

毎日飲み会に行けとは言いませんが、同じ組織の人たちといっしょに食事に出かけることは、政治の一つだと思います。無駄・非効率であると思えることこそ、意義あるものに為せる柔軟な頭は必要ですよね。


◆ 一年の流れと社内の文化


ここに挙げるのは超基本的なことなんですが、あえて言語化してくれる社員はいません。当たり前のことなので伝わると思ってしまっているんですよね。

新入社員にとって社会の常識を知ることも大変ですが、一年間の流れと社内文化を知ることも大切です。


【一年の流れ】

業界にはそれぞれ繁忙期というものがありますし、会社ごとに特殊なイベントや業務があります。

教育業界でいえば、夏期講習のある7~8月、受験間近になる12~翌年2月は繁忙期です。うちの会社内でいえばGW直前と夏期講習明けすぐに、授業大会があります。

当然ながらその前後、真っ最中は普段の業務に上乗せして業務が増加しますので、提出物作成や任された業務は相当計画的に行わなければなりません。

提出物は期限内に提出することが当たり前です。だから提出期限を守ったところで評価の加点はありません。でも繁忙期になっても遅れることなく提出できるなら、同じ業務でも評価は変わってきます。

一年目にできる仕事は多くありません。限られた範囲内の業務を、当たり前に処理すること、それを積み重ねることが評価に繋がっていきます。


【社内の文化】

文化というのは「ゆるい規則」と言い換えられます。マニュアルや規則にはなくても、暗黙の下で守っていること、共有している価値観を指します。

規則にしてしまうと規則自体に成長はありませんが、文化にするとアップデートが許されているため、時代に遅れたり形骸化することが少ないと考えています。

それは挨拶からメールでの言葉遣いにまで、隅々に見ることができます。これ、内部にいる人間からすると上手く言葉にできないというか、まとめきれないんですよね。

ぼくの会社でいうと、「~致します」という漢字表記は誤用であり、「~いたします」と平仮名にするのが正しい使い方とされています。当然、きちんと理由はありますが、これを規則というには大げさすぎますよね。でも指摘されないと気づかないレベルのものだと思います。

だからこそ社内の人間とたくさん接点を持ち、文化に触れて学んでいくしかありません。


とどのつまり何が言いたいのかというと、
コミュニケーションをとる時間を増やそう、ということです。できれば上司や先輩と、ですね。

コミュニケーションができないなら、できるような工夫を考えましょう。毎週火曜日12時からは、一つ上の先輩社員とランチに出かけるなど、いくらでも方法はあるはずです。

当然、コミュニケーション不良は上司や先輩にも非があります。でも新入社員の望むものを察知できるほど、ぼくたちは若くありません。w

まずは何でも聞ける、何でも話せる先輩を一人、作りたいものですね。


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