自分の感情を感じられないぼくだから得られた、莫大なエネルギー
喜怒哀楽を筆頭に、感情というのは人を動かすための大きなエネルギー源です。人間のみならず、感情に近い現象は他の動物にも見て取れますが、ぼくには感情があまりありません。
感情が薄いことで苦労したこともありますが幼い頃からこの特性を非常にポジティブに活用してきました。
感情は本能
ぼくは経営者家系の待望の長男としてこの世に生を受けました。小学校低学年くらいまではとても人間らしく、喜怒哀楽を表す普通の生き物でした。
でも、小学校3年生くらいから感情を抑え込むようになります。ぼくには理性的にならざるを得ない4つの属性がありました。
① 長兄であること
(「お兄ちゃんなんだから妹を優先」の呪い)
② 男の子であること
(女の子に優しくしなさい)
③ 経営者家系生まれであること
(リーダーとしての模範的な振る舞い)
④ 武道を歩む者であること
(強い者は弱い者を守りなさい)
この4属性をはっきり意識するようになるのは4年生になってからでしたが、親がそれを求めていたことはよくわかりました。これによって感情をコントロールする訓練を無意識に、日常的に行ってきました。
無理に押さえつけようとしても本能というものは全力で抵抗してきます。
空腹は理性でどうこうできません。それと同じですね。
でも、これはいわゆる
「我慢」とは異なるものでした。
ぼくが小学校4年生になったとき、我慢の限界を迎えます。普通ならそこで爆発するはずですが、ぼくにはそれがありませんでした。
代わりに生まれたのが、皆の模範生たるべしとする
「ペルソナ」です。
ぼくは1年分の我慢を糧に、新しい人格を生み出したのです。
ペルソナは誰しも持つものですが、ぼくの「それ」は少し特殊でして、
意識の支配権は「それ」にあるのです。
つまりオリジナルのぼくは従者となり、意識の大半を動かす支配権はすっかり乗っ取られてしまいました。
そうなってしまうともう、仮面呼ばわりはできませんよね。ちなみに大人になった今も、支配権は「それ」ががっちりキープしています。
「模範生ペルソナ」のエネルギー源
ガソリンを入れなければ車は走りません。それは人格とて同じことかと思います。本能担当のオリジナルのぼくは、感情からエネルギーを得ていましたが、このペルソナは
ミッションをエネルギーにしていました。
小学生にして松下幸之助と稲盛和夫の著書によって啓発されていた(今思えば気持ち悪い小学生ですねw)ぼくは、学校や習い事先といった様々なコミュニティでトラブルシューターとして活躍していました。クラスで問題が起こると、学校の先生がぼくに相談しに来るほどでしたw
ミッションの数だけ、ペルソナは輝きました。クリアすればするほど、ぼくのブランディングに磨きがかかっていったのですが、それに反比例して強烈な孤独感を味わうようになりました。でもペルソナは完全無欠の理性エンジンで動いていますから、へっちゃらだったのです。
ただこんなことばっかりしていると、問題解決能力は高いけれど、冷徹な人間とも見られかねません。所詮、感情のない理性には人の心に寄り添うことはできないのです。
だからぼくのペルソナは、まったく別のところからエネルギーを抽出していくことになります。
自分の感情がないなら、他人の感情で戦え
高学年になるにつれ、課題解決能力だけでは人がついてこないことを学びました。所詮、計算速度の高いコンピューターは道具以上にはなれないのです。
そのとき、吉田松陰に真正面から出会いました。彼は「ミッションの鬼」だったと思いますが、ぼくとは違って理性という経糸と感情という横糸を織り交ぜた理想的な人物でした。案の定、彼のもとには優秀な名士たちが集います。
人を集めるには、人格が必要。理性もそこそこに、感情が必要なんです。
でも、ぼくのペルソナには感情がなかった。だから
誰かの感情を持ち出し共感することで、新たにエネルギーを得ていくことになるのです。
他人の感情を借りて自らに憑依させるとは、我ながら(?)なかなか考えたものだなあと思います。w
突然の、責任からの解放
大学を休学して家業を手伝っていましたが、安定の兆しが見えたため復学することになりました。
その頃、上2人の妹たちは経済的に自立、一番下の妹は大学生になり、晴れて兄としての役割から解放されました。
そして親からは
「会社は無理に継がんでもええ」
「道場も継がんでもええ」
と言ってくれました。
ぼくの心の内にあった4属性、4つの大黒柱が一挙に引き抜かれたのです。
途端、模範生ペルソナはしゅるしゅると、なりを潜めていきました。本能の回帰を果たしたのです。
「何者でもないぼく」が生まれた瞬間でした。
すると、みるみるうちに本能が暴れ始めました。
勉強がしたい、インターンへ行きたい、もっとお金を稼ぎたい、恋人がほしい、お洒落がしたい、旅行したい、おいしいものを食べたい・・・
そこからはもう、家業を手伝っていた時期以上に寝る間を惜しんで自らの欲に突き動かされ、2年をかけて全てを手に入れていきました。
そのとき、とある学校の先生と出会います。
今思えば運命の出会いでした。
ミッション&他人の感情からエネルギーを得るペルソナと、
自分の欲に忠実な本能担当のオリジナルのぼく。
2人のぼくが初めて迎合しました。
この2人を飼いならしている限り、少なく見積もってもぼくは人の2倍のエネルギーを得られるでしょう。
そこから教育の現場で課題を肌で感じ、情報を集め続け、やっとこさ起業への重い腰を上げ始めました。
周りの環境も好転し始め、追い風が吹いています。
明日はどんな自分になっているのか、毎日が楽しみです。
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