見出し画像

女子プロレス沼のほとりにいる・その2

ちょっと待て。思わずそう言いたくなる展開

9月30日の横浜武道館は映像と音と光の演出もあって熱気に満ちていた。スターダムのシングルのリーグ戦「5★STARS GP 2023」優勝決定戦だ。レッドとブルーの2つのグループに分かれて闘い、それぞれのグループの最多勝ち点数の選手が優秀決定戦に臨む。この日はすでに優勝決定戦に出られない選手が多いのだが、対戦相手に決定戦進出の可能性があれば、勝てばそれを阻止することができる。

両グループ20人のうち怪我人が昨日までに3人出た。その相手は不戦勝となり、その分を加味して、試合前に優勝決定戦に残る可能性のある選手は数人。しかし、白川未奈は安納サオリに、朱里は壮麗亜美に、中野たむはなつぽいに(見出し写真)、刀羅ナツコは葉月に(下の写真。他もすべて筆者撮影)、MIRAIは舞華に敗れ、その結果、決勝進出したのは舞華と、この日不戦勝かつ刀羅ナツコとの直接対決に勝った鈴季すずに決まった。

刀羅ナツコを締め上げる葉月

いや、ちょっと待て。朱里、中野、刀羅は、普通に考えたら負けないような気がする。とくに中野たむは昨年のこの大会で準優勝し、初優勝は悲願だったはずだ。それに、鈴季はたしかに素晴らしい選手だが、プロミネンス所属としてスターダムのステージに参加したのが昨年初め、スターダムに異動してまだ半年足らずの21歳。昨年の大会では優勝決定戦にあと一歩の結果を残しているが、会場の雰囲気は、えっ?という感じだ。ヒールの刀羅に進出してほしいという人も多かったようだ。

どうしてそうなる?

優勝決定戦はさらに意外な展開に。スターダムですでに3年以上の戦歴があり、いつも女帝キャラで盛り上げてくれる舞華への声援は、試合が進めば進むほど地響きのように大きくなる。しかし最後の最後に舞華は鈴季に返されて、挙句にフォール負けしたのだ。

舞華(左)敗れる

な、なぜ舞華は報われない??

とやっぱり、そう思う。モヤる。どうしてスターダムは予定調和を壊すのだろう。

しかし結果から見れば、つねに新しく変わることを貪欲に求めているように見える、このスターダムという団体らしいことかもしれない。スターダムには21歳以下の才能のある選手が集まっている。かれらに刺激を与えたのは確実なのだろう。

なんでそうなるかな、という納得しがたい結果と、その意味を確認したくなる気持ち。考えてみれば、人生はそんなことばかりだ。プロレス団体は人生の鏡をリングサイドに置いておくのかもしれない。

この記事が参加している募集

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?