見出し画像

夜がやってくる

最近、夜がやってくると眠気が襲ってくる。
ごく当たり前かと思うが、いつもならテレビをみたり、ネットをみたり、漫画を見たりしていた時間。

なんとなく過ごすうちに眠気がジワジワと僕のカラダを取り巻いて、僕を布団の海に誘うのだ。

ペンを持ち、今日はイラストの1枚でもと気合を
入れたとしても、その闇は気合も無関心で心の奥から欲望をむしりとり、僕の頭を柔らかい枕へと誘う。

一杯のコーヒーを飲むことにしよう。
お湯を沸かし、市販のコーヒードリップにお湯を垂らす。
香り高く、僕は高揚感を覚える。
今日はFMラジオを聴くのをやめてジャズの CDをかけることにする。
軽快なジャズシンガーの声が心地よく僕のココロに響く。
聴いている耳と耳の間で子守唄のようにじんわりと暖かくなっていく。

すでに僕は夜の虜だ。
彼女には逆らうことすらできず、身を任せてしまう。
僕のすべてを。

さぁ僕のすべてを受け止めておくれ。
このどうしようもない行き場のない僕を。

静けさの中には高揚とは無縁の闇が待ち受け
不安と混沌と、これまたどうしようもない、逃げ場を失った子供のような僕のハートが闇夜のプールに浮かぶ。

月に照らされた、静かな湖畔に佇み、水面に映るなんとも美しい光景に僕は頬をあからめ、にこやかに走り出す。
そう見えているはずもない未来に向かって。

光が見え始めたその先には。
残酷で行き場のない明日という朝が待ち構える。

#ショートショート #夜 #お眠りなさい
#短編小説 #ショートストーリー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?