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中医学でみる「心」の不調と養生について。「夏」と関係が深いのだ
「しん」の季節は「夏」なのだ
前回は、「心」のはたらきについてお伝えしました。
先日、二十四節気の【大暑】をむかえました。
連日35度近い気温が続き、まさに夏真っ盛りです。
下の図をご覧ください。
「心」の部分に「火」が描かれていますね。
これは、「心」が休むことなく働き、火熱を生む【火の臓】だというのをあらわしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1721977575719-lchg9P9uBt.jpg?width=1200)
外気温も高い状態で、止まることなくずっと動き続けるわけです。
まさに
「夏」と関係が深い「心」に、最も負担がかかりやすい季節とも言えます。
今回は、「心」に不調がおきた場合、どんな特徴があるのか?
主なタイプをみていくことにします。
①心気虚(しんききょ)
「心」の気が不足した状態 を言います。
主な症状
・動くとすぐに動悸・息切れがし、休むと楽になる。時に胸痛。
・顔色が青白い、疲れやすい、声が小さい、汗が多くなる。
この汗について補足です。
【自汗】 体表を覆い護る気が弱くなり、汗をとどめておけずに
出てくる汗のことを言います。
動くと症状が悪化するのが特徴です。
全てを動かす力となる「気」がそもそも少ないのがこのタイプです。
【予防改善のために】
・過度な運動や過労をさける
・冷やさない
≪薬膳ポイント≫
・気を補う食材
穀類、いも類、豆類、骨付きの鶏肉など(手羽先、手羽元など)
・心の機能を整え、不調を改善していく食材
龍眼、カカオ、蓮の実、ひじき、豚ハツなど
※もともとのパワーが弱く、消化力が弱いと思われます。
一度に沢山ではなく、こつこつ気長に続けることが大切です。
②心陽虚(しんようきょ)
心気虚が悪化して、さらに温める作用が低下した状態 です。
主な症状
心気虚と同様な症状に加え
・手足の冷え、寒がり、多尿、冷えてあちこち痛むなど。
心気虚同様に、動くと悪化するのが特徴です。
≪薬膳ポイント≫
心気虚と同様に、
・気を補う食材 を摂る
・全身の経絡(気血の通り道)を温める食材
青ねぎ、よもぎ、シナモン、レモングラス、らっきょう、甘酒など
体を温めるラム肉やエビなどと合わせて食べるのもオススメです。
③心血虚(しんけっきょ)
心血が不足した状態 です。
主な症状
・動悸、息切れ、不眠、夢をよく見る、めまい、立ちくらみなど。
「血」が不足している=「気」も不足している 状態です。
・出産などの出血が多い時
・消化機能の働きの低下で「血」が作れない
・ストレスによる消耗
などの原因で陥りやすいと言われています。
土台となる「気」を補うことも忘れずに。
【予防改善のために】
・気持ちの過労を防ぐ
心配性で取り越し苦労が多い など
薬膳ポイントを参考にした食事、早寝、リラックス など
≪薬膳ポイント≫
・気を補う食材 を摂る
・血を補う食材
黒木耳、金針菜、龍眼、なつめ、牡蠣など
龍眼は 心血を増やす 美味しい中薬でもある食材です。
なつめと合わせて、お茶として飲むのもオススメです。
④心陰虚(しんいんきょ)
心の陰(津液・血)が不足した状態 です。
主な症状
・動悸、息切れ、不眠、夢をよく見る など (心血虚と同様)
・手足のほてり、寝汗、のどの渇き、微熱(午後から夜間)
これらは、【陰虚】 と言って 体内の水分や血液が不足していることでおきる症状です。
≪薬膳ポイント≫
・津液(体内の水分)を生じさせ、潤す食材
きゅうり、ズッキーニ、梅、キウイ、スイカ、梨、桃など
・肌や組織の乾燥や不足による熱を改善していく食材
山芋、白木耳、貝柱、牡蠣 など
夏野菜や果物など、今の季節に手に入りやすい食材が多いです。
以上4つは、『虚証』タイプです。
身体に必要な正気(気,血,津液)が不足している状態です。
補うことを主軸に考えていきます。
他に、『実証』タイプもあります。
正気の不足はないものの、余分な栄養や老廃物がたまっている状態です。
余分なものを取り去ることを主軸に考えていきます。
残り2つもみていきましょう。
⑤心火亢盛(しんかこうせい)
心の陽気が強くなりすぎた状態 です。
主な症状
・もだえるほど胸が苦しい、不眠、夢が多い、ソワソワ落ち着かない
顔や目が赤い、体が熱い、口や喉が渇く、尿など濃く臭いが強い など。
舌の先が赤い、口腔の灼熱痛 なども特徴です。
【予防改善のために】
・体内で熱を生じるものを摂りすぎない
辛い物、燻製、発酵の強いもの、味の濃いもの
お酒、たばこ など
≪薬膳ポイント≫
・熱を冷ます、体内の水分を生じさせ潤す食材
トマト、きゅうり、ゴーヤ、菊花、もやし、あさり
キウイ、西瓜、梨、海藻、緑茶など
とにかく熱いタイプなので、熱を取り除くことを第一にします。
⑥心血瘀阻(しんけつおそ)
「心」に「血」が停滞して、血瘀が生じた状態 です。
主な症状
・激しい刺すような心胸痛、上背部痛、動悸、不眠
唇が紫色、舌の裏の血管が怒張 など。
【予防改善のために】
何が原因になっているのか?を考え、その要因を取り除きます。
・気が滞っているならば、心の底から楽しいと思えることを増やす♪
・冷えが原因ならば、薄着をしない など。
≪薬膳ポイント≫
・血行を促し、血の滞留や固まりを解消していく食材
納豆、玉ねぎ、にら、バジル、ローズマリー、グレープフルーツ
カカオ、サフラン、酢、味噌 など
ここまで「心」の不調と養生を、駆け足でご紹介しました。
ご自分の身体と照らし合わせて、当てはまりそうなら、まず試してみる
合わないようなら、別の方法を取ってみる など
柔軟に取り入れてみていただけたら と思います。
「心」に限らず、ご自分の大切な体を守るために
食材の持つチカラを借りながら、こつこつ続けていってみましょう。
ワタシも頑張りすぎず、がんばりまーす♪(どっちやねん)
いや~、今回は長かった~^_^;
長々お付き合いいただきありがとうございました。
YO
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