運動器の意外なヴァリエーションとは

前回までの記事では、一つの動作「肘を曲げる」
という動きについて
・固定する場所が変わると、動作が変わる
・一つの関節の周りで、筋肉は縮んだり緩んだり適宜動きを変化させている
・動作を行うときは、からだのあちらもこちらも
連動したり、協調して動く

など、”動き”を様々な角度でふか堀りしました。

では、ここでは一度骨・関節・筋肉などに立ち戻ってみましょう。

例えば二人の同じ歳、同じ性別の人がいて、
同じ骨に同じ関節と同じ筋肉が組み合わされていれば
みんな同じ動きができるのでは??

と、簡単に考えがちではありますが、
実はそこが大きな落とし穴なのです。
(たいていの説明はここまでなので、
一見万人が同じ動きをしていると錯覚してしまいます)

理由の一つは、前に述べたように
周りの関節や筋肉がどう固定されているか?
もしくは協調しているorしていないか?
で動作が変わります。

もう一つは関節も筋肉も一見みんな同じ形のように見えますが
一人一人違い(ヴァリエーション)があるということ。

どの様なヴァリエーションがあるかと言うと、
・同じ名前の筋肉でも、長さ太さが違う
・違うだけならまだしも、人によっては部分的に無い場合もある
(無い場合もあります、というか、“無い“ことが結構あったりします)
・あっても骨に着く場所や範囲が違う
などなど。。

また骨も
太さや長さが違う(左右でも違う)
・曲がる角度やねじれ具合、
筋肉がつく面の広さなどが数ミリずつ違う
ことも多々あります。

関節でも
・二つの骨が隣接する隙間の広さや角度
・関節を囲む組織や靭帯の大きさや厚さ広さなども、
それぞれの組織について一人一人微妙な違いがあります。

つまり、顔の骨格や目や鼻の大きさ、
手足の長さが、全く同じ大きさ、同じ形というのは無じように
目に見えない場所の筋肉や骨も、
このように違いがあることの方が一般的だということが大事なポイントです。

さて、骨の長さや曲がる角度、ねじれ具合などが一つ一つ違い、
それを動かす筋肉の太さや本数、着く場所や面積や方向なども
1箇所ずつが違うのですから
それが連動して作り出す動きも一人一人違うということなんですよ!

筋肉が無い!ならまだしも、関節に付く面積やちょっとしたねじれなんて、、
大した違いがないと思うかもしれません。
そうです、一つ一つは大したことないかもしれません。
でも、関節の動きは沢山の筋肉が協力しあって作っています。

その中で、

  • 方向を決める大事な筋肉が弱い、

  • 隣の関節とつながる腱が付く面積が狭い、

  • 機能を支える大事な筋肉の付着部分がずれている

など、要になる部分でその違いが露わになると、
動きが変わりパフォーマンス自体に影響してきます。

ちょうど、歯並びによって噛む力が変わったり、
目の色によって光に対する感度がちがかったり、
そういった生まれつきの構造による違いと似ている
のかもしれません。

一人一人の筋骨格系の作りによって、
一人一人の動き、動きやすさは違う

からだが動く仕組みを考える上で、
大事なポイントになります!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?