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平成初期までの「お祓い」および「拝み屋」のやり方を聞いた話



むかし聞いた話だけど


本物のお祓い・拝み屋というのは大体が2人組で、その手法は「呪いがある」と深く信じ込ませてコトに当たる場合と「呪いはない」と否定してカウンセリングする場合の2パターンに分かれるそうな。


そして1人目として依頼人に当たった奴がそいつの性格・性質・傾向を見て「無い」と否定した方が良ければその場でカウンセリングをはじめる


あるいは、1人目が既に「お祓いが生業のひと『らしすぎる』振る舞いをしていた」場合は2人目にカウンセラー役を投げて「こちらの方に依頼される方が向いていると思います」と依頼人を誘導する。
明らかにそれっぽいひとが「無いですね」というと、むしろ不安を煽ってしまうことが多いからだそうな。

そのため2人組はどちらも祓い師・カウンセラー両方の資質を持つらしい。互いにどちらの役もやれるようにね。

で、なんでこういう手法とるかというと、結局は当人の思い込みが呪いにも霊感にも一番大きな影響を与える、というのが大多数の「本物」の共通見解だからだと。


つまり信じなければ存在しないし、信じてしまうのなら「その信じる内容の方向性を操る」。

だから2人組で役割分担して仕事をなし、しばらくして顔と名が知れると仕事の場所も移すのだという

氏素性とか人となりが広く知られてしまうとやはり、術師の人間性とかそういうものが先に立ってしまい依頼人が「信じるものを選んでしまう」。要は先入観を与えてしまうから、だとか。


少なくとも平成の初期まではそういうやり方でお祓い、呪術、拝み屋という稼業は成り立っていたという

この話を聞かせてくれた人に「いまは違うんですか」と訊いたら「やり方がだいぶ変わった」「ネットとかで情報が広まりやすくなったから」と言っていた

で、その「変更されたいまのやり方」の方ははぐらかされて教えてもらえなかったので、そこは門外不出なんだろうなと思ってもう深く聞かなかった。

教えてもらった古いやり方のほうはまぁ「黙っとけよ」とも言われなかったので、結構いろんなとこで話のネタにした。いまみたいに。


そしたら去年になって、この話を聞かせてくれた人が亡くなっていたことを知った。
どうも自ら選んでの……だったらしい。
私とかにその話を聞かせてからふた月と経たないうちのことだった様子

なんだろうなと思っていたが、関わり深い人でもなかったのでそれで流してた。とりあえずその直後は。


でも今思うのは……本当にこの「やり方」って奴が平成初期で変わっているのか、ということ

もし変わってないのだとしたら、私は手法をバラしてしまったわけで。
祓い師や拝み屋に対し、依頼人が不信を抱く種を蒔いたことにならないか?

ひょっとして、そうやって困る人や悩む人が出るように、わざわざ私とかに教えたんじゃないのか?

彼が自死を選んだ原因がわからないせいで妄想がふくらみ、そんなことを少し、思う。









という、元号が変わったのにかこつけて考えたホラ話

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