松雪泰子さんについて考える(13)『5人のジュンコ』

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松雪さん出演シーンの充実度:6点(/10点)
作品の面白さ:8点(/10点)
制作年:2015年(WOWOW)
視聴方法:FOD、U-NEXT
 
※以下、多少のネタバレを含みますが、決定的なオチや展開には触れないようしております。
 
『地の塩』(2014年)から2作目となったWOWOWドラマ出演作。今回は主演。
 
タイトル通り5人の“ジュンコ”の名を持つ女性が、複雑な因果関係の末に(バタフライ・エフェクト)、人生が変化していく様を描いたサスペンス調の作品。松雪さんは、人気女性ノンフィクション作家(渡辺真起子)のマネージャー兼ゴーストライター役。
 
まず、作品自体が面白い。サスペンス系が好きな人は特に楽しめるはず。真犯人を見つける推理モノ的な要素もある。
 
ただし、松雪さんのキャラクターが最初から最後まで同じテンションで、基本的に感情を表に出さない。それゆえ、松雪さんのファンの目線として楽しめる作品かというと、微妙なところ。
 
ただし、この作品にしかない松雪さんの特徴があるのもまた事実。出演作品史上、一番低いと言えるくらいの重低音ボイス。映画『脳男』(2012年)、NHKスペシャルドラマ『エアガール』(2021年)の時に近い。今作の緊張感と役柄の陰影にマッチした、ずっしりとした声質。

もちろん、作品中ずっと同じ声で通しているわけではなく、取材相手に愛想よく接するときなどに限っては、よそいきの少し高い声が使われている。
 
メガネ姿がよく出てくる。『名探偵 保健室のオバさん』(1997年)を皮切りに(?)、古くは『なにさまっ!』(1998年)で母親モードの時はメガネ姿だったが、それ以降はあまり出てきていない気がする。近年ではNHK『ミス・ジコチョー』(2019年)、映画『甘いお酒でうがい』(2020年)でメガネ姿が多かったが、これらくらいのはず。
 
では、松雪さん以外の役者について。
 
佐竹純子役の小池栄子さん。女優としてもはや大成していて、貫禄がある。
 
篠田淳子役のミムラ(当時。現在は美村里江)さん。ついにデビュー作『ビギナー』(2003年)以来となる松雪さんとの共演。『ビギナー』ファンとしては喜ばしい。このあたりのことは、YouTubeで見られる制作発表の動画で、松雪さんや美村さん本人が心境を語っている。
 
主人公の夫を演じた津田寛治さん。いい味を出している。
 
そして、人気女性ノンフィクション作家役の渡辺真起子さん。傲慢でわがままな態度や口調にリアリティがあった。
 
以上、結論としては、作品の面白さ的におすすめ。

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