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パパの子育て小説・エッセイ

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子育ての中で感じたことを小説やエッセイにしています。
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#父親育児

割れたお皿と次男の決意

朝、4歳になる次男が癇癪を起した。 何が原因かわからないが、 泣きじゃくりながら 妻や物にあたっている。 あげくにテーブルの上にあった お皿を落として割ってしまった。 妻は怒りながら皿を片付ける。 困ったものだ。 次男は昔から 暴れ出すと手がつけられない。 このまま育ったら、 どうしたものか。 お皿を割ったことで、 多少はおとなしくなった 次男をだっこしながら、 そんなことを考えた。 その夜の夕食。 妻が買い物の話を持ち出した。 今度の日曜日、 何々を買うという話だ。

子どもの寝相の秘密

朝起きて、子どもの寝ている姿を見ると、 なんで、こうなったのか、 と驚くことがしばしばある。 7歳の長男はまともになったが、 4歳の次男は相変わらずだ。 頭と足が反対になっていたり、 床に寝ていたりする。 夜の間に何があったか 謎でしょうがなかった。 その謎がある日、解明された。 その日は仕事が立て込んでいたせいか、 私自身の寝付きが悪かった。 小さな物音がするたび、 目を覚ますような状態。 次男は私の横ですやすやと寝ていた。 朝の2時ぐらいだろうか。 突然、次男がベッ

不思議なカードゲーム

息子がカードゲームを やろうと言ってきた。 カードの表面は統一の黒の絵柄で、 裏面は寿司の絵が描かれている。 「かっぱ巻き」なら2枚、 「まぐろ」なら2枚。 なるほど、神経衰弱か。 息子がダイニングテーブルの上に、 カードを並べる。 神経衰弱は記憶力のゲーム。 息子はまだ4歳なので、 あまり得意ではない。 どうやって勝たせてあげようか と思案しながらゲームは始まった。 が、それは普通の神経衰弱ではなかった。 世にも奇妙なルールの 神経衰弱だったのだ。 ルール①まずは普

かくれんぼ

公園に行くと、必ず7歳になる長男が 「かくれんぼしようよ」と言ってくる。 しかも問答無用で 4歳の次男を鬼にする。 いち、に、さん、しぃ と数を数え始める次男。 長男は本気で隠れようと、 遠くの方まで走っていった。 それほど広くない公園だが、 子どもが迷子になったら大変だ。 長男がおおよそどの辺りに 隠れたかを確認した後、 私は次男のすぐそばの 木の陰に隠れる。 きゅう、じゅっ 数え終わった次男はあたりを見回す。 外にいるときは、いつも私か妻かに 手を握ってもらって

次男の補助輪

7歳になった長男はもう自転車に乗れる。 小学校に入ったときに、 窮屈そうだったので、 新しい自転車を購入した。 前の自転車には補助輪をつけて、 4歳の次男のものに。 いわゆるお古だが、 次男は気に入ってくれて、 たまに「自分の自転車で行く」と、 その自転車で公園に行こうとする。 そうなると大変だ。 車も走る道路をちょこちょこと、 こいで行くことになる。 危険なので、私も長男も 自転車はあきらめて、 横を一緒に歩いていかなければいけない。 何回かこぐたびに、うまくいかない

お父さんの熱いお風呂

子どものころ、父親と お風呂に入るのが嫌だった。 理由は思い出せなかった。 自分がお父さんになったとき 理由がわかった。お風呂の温度だ。 冬のこの時期、年寄りは やっぱりお風呂は熱い温度で入りたい。 だが、子どもには熱すぎるのだ。 私と一緒にお風呂に入ると、 すぐに熱いと言われ、 水で冷ます羽目になる。 そして終いには、 「お母さんと入りたい」 と言われてしまう。 兄弟二人をお風呂に入れる身としては 最初から温いと、自分がお風呂を出る頃には 体感では水近く、風邪を引き

ちょこんと座る次男

疲れた。仕事のストレスを抱えたまま、 仕事部屋を離れ、リビングに。 長男はテレビゲームをしている。 私はなんの気なしに、 長男の横にあぐらをかいて座る。 仕事のことが頭から離れず、 虚ろな表情でテレビ画面を見る。 すると、床に座っていた次男がやってきて 私の股にちょこんと座る。 ただ、それだけの話。 長男が私の横に、 次男が私の上に、 座ってみんなでテレビを見ている。 ただ、それだけなのだが、 家族っていいなと思う瞬間だ。 【宜しければこちらもお読みください】

紙ねんどの信号

それは幼稚園の父兄参観日のこと。 土曜日なのに幼稚園に行く 次男の動きは鈍い。 ぐずぐず布団で過ごしていて、 もう8時になりそうだ。 私はというと、 初めての父兄参観ということで、 朝からテンションが上がっている。 次男の幼稚園生活を垣間見られることで、 すでに胸がいっぱいだ。 朝食を終えても相変わらず、 ぐずぐずしている次男。 見かねて、妻と長男も一緒に 幼稚園に行くことになった。 もちろん私も付いていくのだが、次男が 「お父さんは来なくていいよ」 と残酷なことを

だっこ

「魔女の宅急便」という映画で、 旅立つキキを抱っこしたお父さんが、 「重たくなったなあ」と言うシーンがある。 成長した我が子を実感する 感動的なシーンだ。 さて、4歳になる次男は怒られたり、 足をぶつけたり悲しいことがあると、 「だっこ」 と飛びついてきて、だっこをねだる。 「よしよし」と声をかけながら 抱きかかえ、しばらくだっこしてあげる。 一方で7歳の長男は もうだっこをねだることはない。 ところが、先日、階段でふざけていたのか、 あごを強打し、大声で泣きだした。

兄弟のスパイ大作戦

わが家では、子どもの YouTube視聴時間を決めている。 放っておくと際限なく見てしまうからだ。 日中は私が監視できないので、 妻が視聴時間の監視役だ。 ただ、長い動画の途中で 視聴時間が終わった場合、 どうしても続きが見たくなるようだ。 妻がお風呂に入ったときがチャンス。 兄弟はテレビをYouTubeに合わせて 動画の続きを見はじめる。 私はそれを横目で見ているのだが、 様子がおかしいことに気が付いた。 『今日の視聴時間は 終わったのに見ているんだな』 すぐに注

あのね

4歳になる次男は話かけるとき、 「あのね」 というのが口癖だ。 「あのね、お父さん、あのね」 なんとも可愛いらしい。 会話は続く。 「あのね、お父さん、今日ね、幼稚園でね、 「あのね、お友だちと遊んでたらね」 このまま眠りたくなる、 心地よい響き。 何を伝えたいかはわからない。 でも一生懸命伝えようとする 気持ちが見えて愛おしい。 子どもにとって、一日は長い。 その日にあった出来事は 大人にとっては些細なことだが、 子どもにとっては真新しい大きなこと。 凝り固ま

兄のもの、弟のもの

歳が近い兄弟を持つ親なら、 誰しも知っていることは、 兄と弟には同じものを与えることだ。 違うものを与えてしまうと、 たいていは喧嘩の種になる。 僕はあっちがいい、 僕はこっちがいい。 という感じだ。 特におもちゃは深刻だ。 たまに「サービスです」と、 親切におもちゃをくれるお店が あるのだが、兄弟別々の物を渡す。 不安どおり、家に帰ってから おもちゃをめぐって喧嘩が始まる。 たいては、兄が勝ち、 弟は負けて泣いて終わり。 俺のものは俺のもの  お前のものも俺のもの

明けの運動会

台風が明け、緊急事態宣言が明け、 小学1年生の長男の運動会が 快晴の空の下で開かれた。 緊急事態宣言中に準備されたため、 種目は一学年につき、わずか2種目。 運動会自体、午前中で終わった。 長男はかけっこと、ダンスのみ。 待機中はマスクをつけているが、 競技中はマスクを外す。 われわれ大人自体が 初めての経験をしている状況の中、 長男にとっては 初めての小学校の運動会。 ビデオカメラのファインダー越しに、 一生懸命に走ったり、 踊ったりする姿を見て、 うるっと来る。

UFOキャッチャーという悪魔の誘惑

子どもを持つ親の間で、 あいつだけには近寄らない方いい という悪魔のような存在がある。 それがUFOキャッチャーだ。 クレーンゲームともいう。 100円入れてクレーンを操作。 目当ての物を掴んだ、 という喜びは束の間、 ポケットに行くまでに 無情にも落ちてしまう。 そして子どもの残念そうな顔を 見てしまうと、また100円を 投じてしまうのだ。 わずか30秒程度の娯楽。 あっという間に財布の中の 100円がなくなっていく。 たちが悪いのが、 たまに取れてしまうことだ。