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「Amazonエフェクト」について

「Amazonエフェクト」なる言葉がある。

ネットをググると、わかりやすい解説がある。いわく、「インターネット通販サイト米アマゾン・ドット・コムの急成長に伴い様々な市場で進行している混乱や変革などの現象を指す。消費者の購買行動が実店舗からオンラインショッピングへと移行したことで、米国内の百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれるなど、既存の米消費関連企業が業績悪化や株価低迷に陥った。同社による買収や新規事業拡大の影響は他の産業分野にも及んでいる。」とある。

Amazonによる「買収や新規事業拡大の影響は他の産業分野にも及んでいる。アマゾンエフェクトで収益下振れが見込まれる小売関連銘柄約50社で構成される「アマゾン恐怖銘柄指数(Death by Amazon)」も設定された。」という話もある。Amazonが何か新しいことを始めると、それによって下手すると「蒸発」してしまう業界や企業もあるという。

そのAmazon(米アマゾン・ドット・コムのこと。同社の日本法人ではない)が中小薬局と組み、日本で処方薬のネット販売に乗り出すということなので、病院の至近距離にいわゆる「門前薬局」を構えて、「地の利」を武器に商売をしていた調剤薬局チェーンにとっては、おそらく大きな脅威になるにちがいない。

既に同じようなことは米国において実施済みであり、「2018年にオンライン薬局大手の米ピルパックを7億5300万ドルで買収。20年11月にはこの事業をもとに、オンライン薬局「Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)」を立ち上げて処方薬の販売に本格参入した。ウェブサイトやアプリで処方薬を購入でき、有料のプライム会員は注文から2~3日程度で配達を受けられる。」という。

ヘルスケア産業は規制がいろいろあるにせよ、ユーザーの利便性向上というの観点から、規制に守られた業界の既得権益をいつまでも維持できるとは思えず、今後、大きな見直しを迫られることになりそうである。

国内の調剤薬局チェーンとしては、座して死を待つのではなく、自前で対抗策を講じるしかない。既に、「アインホールディングス(HD)はビデオ通話で服薬指導を実施できる専用アプリを始めた。クオールHDも医療スタートアップのマイシンやメドレーのオンライン服薬指導サービスを採用している。イオンリテールが運営する「イオン薬局」は2024年度をめどに、処方薬の即日配送サービスを31都府県で事業化する。」といった動きはあるにはある。

しかしながら、Amazonの「会員基盤や物流インフラを活用すれば「オンライン薬局サービスで太刀打ちできない」(調剤薬局幹部)との声もあがる。」ということで、Amazonの動き如何で、薬局業界の大々的な変動が起きる可能性は十分にある。

ヘルスケア産業全般について言えることであるが、さまざまな規制による参入障壁のおかげで既得権益を長らく享受していた産業であり、ユーザーの利便性よりも供給側の論理が優先されてきた産業であるとも言える。

厚労省を後ろ盾にした、既存のヘルスケア産業のあり方は、コロナ渦でいろいろとボロが出てきており、従順な国民もさすがにこのままではマズいだろうということに気づき始めている。

電子処方箋、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)、オンライン診療、オンライン服薬指導等々、厚労省や業界団体が本腰になれば、やれそうなことはいくらでもありそうだ。昔も今も、「黒船」が来なければ、改革ができないというのでは、あまりに情けない。

規制によって保護しなければならないような業界は、どうせ早晩、消え去るしかない。「Amazonエフェクト」にガチで抗っているウォルマートのような企業もある。ユーザーの利便性が向上するのであれば、あとは競争原理に委ねるしかないと思う。


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