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退屈の恐怖と向き合う

忙しいことと、暇なこと、どちらがツラいのだろうか。
意識的に応えるならば「忙しい」と答える人が多いかもしれないこの問い、
実はそうでもない、と思わされるような研究があったりする。
私たちは何より、退屈を恐れている。
そしておそらく、退屈が意味するもの。
それは…

退屈するくらいなら痛みを!?

自由時間と幸せの不思議な関係

小学生のころ、「毎日が日曜日ならいいのに」と憧れた。
しかし、毎日が日曜日である夏休みが始まると、余った時間をどう使うかで頭を悩ませた。
大人はこういう。
「毎日は忙しくて、たまに休みがあるから価値があるんだ」
なるほど、その意見もわからないでもない。

実は、内閣府がこんな統計をまとめている。

自由時間が7時間未満の人の幸福度は「6」を超えているのに対し、7~13時間の人は「6」に足りません。13時間以上ある人は「5」程度です。

詳しくは、以下の記事を。

退屈しのぎの電気ショック

さらに、こんな研究もある。男性の66%は、一人で何もない部屋で15分、何もせずこもるくらいなら、痛みを伴う電気ショックでもいいから、何か刺激が欲しい、という行動を記録した研究だ。

時間が埋まるとホッとする

窓際族が成立する背景

バブルの頃だったか、世間では「窓際族」という言葉が流行った。
特段の仕事を与えられず、閑職に追いやられた余剰人員が、一日中デスクから窓の外を眺めている事を揶揄した表現。彼らの多くは次第に自ら会社を去る、というストーリーが一般的に知られている。

子どもの頃に感じた「毎日が日曜日なら」という感覚から行けば、毎日働かずとも給料がもらえるなんて、理想的ともいえる環境こそが窓際族。しかし、現実はそんな子どもが描く理想の世界と現実は、ちょっと違うのかもしれない。

私の原体験

私自身、社会人デビューをしてすぐ飛び込み営業に従事した。朝から晩まで飛び込みで営業する日々だが、なかなか商品は売れない。売り上げにつながる(=価値ある)仕事、会社に貢献する仕事ができない状態を胸を張って「仕事をしている」とは言い切れるはずもなく、今から振り返ると、退屈を感じていたような気がする。

ロボットのように、歩き、訪問し、セールスはするけど、成果がないタスクは退屈だ。当時の私は、毎日の退屈と闘い、うつ病の一歩手前まで追い込まれた。
その時は、会社の行事の手伝いなどでも、それが何かに貢献するなら、喜んでやった。数少ない、退屈を感じない仕事だったのだから。

退屈への恐怖は●●●●の欠如から

退屈とネガティブ感情

退屈は本来、フラットな感情であってもいいと思う。しかし、退屈を感じるとき、人は多くの場合、孤独・怒り・悲しみ・不安などのネガティブな感情をセットで感じているという。そしてそのことは、ズバリ自分が必要とされていないかのような不安を産んでいることが多いのではないだろうか。

窓際族のケース、私の体験、双方ともに「自分がそこにいる価値」が認められないのだ。そして退屈を感じた人は、そこに何かしらの予定を埋めようとする。この予定には二つのタイプがある。一つは、人と会う予定。もう一つは一人でできる予定。

人と会う予定を作る人はシンプルに、「自分にも必要としてくれる人がいる」という事を確認したいから。一人でできる予定を作る人は、何かに没頭することで、退屈の不安を紛らわせたいから。
すべてがそうだとは言えないものの、この傾向は強いのではないだろうか。

退屈の恐怖は、自尊感情の欠如が影響しているのではないか、と感じている。

立ちどまって、見る

この退屈という気持ち。多くの場合、その場の雰囲気でやりすごしがち。たとえば、電気ショックの痛みでやり過ごしたり(笑)、どうでもいいタスクで時間を埋めて退屈を消そうとしてみたり。ただ、時間をタスクで埋める行為の背景には、自分と向き合うことを避けている可能性があるのではないだろうか。そこに気付かない限り、退屈の恐怖はいつでも心を侵食するし、それを阻止するため、タスクで時間を埋め尽くさなければならなくなる。

これが忙しすぎる人が出来上がるメカニズムだ。

退屈と向き合う習慣作り

忙しい人ほど大事なのが、あえて空白の時間を持つこと。
私はスケジュール帳に「自分とのアポイント」を書き込むことをお勧めしている。

実は、自分と向き合う習慣なんてそんなに長時間が必要なわけではない。
私が実践するのは、毎朝、仕事を始める前の3分間、誰もいないオフィスで目をつぶり、自分の内面に注視するよう努めている。また、昼食後の15分は昼寝の一歩手前で、ぼんやりと自分の内面と向き合う時間をとっている。

はじめは1分からでOK。
毎日の習慣に組み込むと、退屈と上手に付き合えるようになる。





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