「欲しい」の本質 人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方
※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です
はじめの一行
はじめに
人は欲しい、というものを本当に欲しているかどうかは怪しい。セールスやマーケッティングの話においては、よく言われる話で、有名な話の一つに「ドリルを売るな、穴を売れ」というものがあります。ドリルを買いに来たお客さんに、そのままドリルを売るのではなく、その最終用途を聞き出したうえで穴をあけてあげることを提案することで顧客満足度が上がるという話です。この事例に限らず、消費者は自分の欲しいものを分かっていないことが多いといいます。一般的な常識を打ち破ることで新しい価値観を提供するという意味では、このまえがきも「インサイト」なのかもしれません。
本書の内容
「インサイト」とは?
ここでいう「インサイト」とは、顧客の隠れた動機。たとえば、iPhoneが世に出るまで、人は音楽の聴ける携帯電話を欲しいと具体的に認識していたわけではないと思います。しかしそれが目の前に出された時、ああ、こう言うのが欲しかった、となる。こういったインサイトというのは、顧客本人さえもが認識していないから見つけ出すのが難しい。たとえば、アンケート調査を幾らやってもインサイトは出てきません。お客さんに聞いてもやっぱり出てこない。そもそも、「こういうのがあったらいいと思いませんか?」と聞かれたら、「ああ、いいかも!」なんて言うわけですが、実際に買うかどうかは別問題。というか買わないことの方が多いと思います。
インサイトの構成要素は次の4つとなります。ドライバー(源泉要因)、シーン(場面)、バックグラウンド(背景)があって、これがエモーション(感情につながる)といいます。これらを価値のインサイト、不満のインサイト、未充足欲求のインサイトなどの分類を行って整理をしています。
裏の欲求、表の欲求
さて、インサイトを理解する足掛かりの一つが、人の持つ欲求です。本書においては、天使の欲求(エンジェルインサイト)、悪魔の欲求(デビルインサイト)というものがあるようです。本書ではこれらをそれぞれ8つの分類を行い、対比させています。意外と見落とされがちだけど、大事なのは「悪魔の欲求」のほうです。これは表に出にくいだけに厄介。例えば、昭和の時代には自動車を買う時にたとえば、かつての若者は「女性にもてる」というインサイトがあったのではないかと思います。自動車そのものには興味がなくとも、女性には興味があって、そのために車を買う。ということは、モテる車をアピールすれば、グッとくるかもしれないということでしょう。
インサイトを見つける
本書の中心テーマは、ビジネスのプロモーションにおけるインサイトを見つけることです。さまざまなフレームワークの解説があり、リサーチ方法が具体的に提示されています。これらを駆使することでインサイトを見つけるべく一歩一歩前に進めるであろう情報はおおむね提供されていると思われます。これを例えばそこそこの人数のチームでこなそうとしていくと、あるいは上手くできてしまうかもしれません。ただ一方で、中小企業の社長が一人で見つけ出すというのはけっこう大変かもしれません。あれとこれを掛け合わせれば、バッチリ出てくるというものではないからです。顧客に聞いてもわからない事だけに探し方は難しいのですが、ひとたびそれを得られると、その業界の流れを変えるほどのインパクトを秘めたもののように思います。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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