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権力者は見返りのないことに関心を持たない!?

一言でいうと

目標が変わるとチームメンバーの理解の仕方が変わる

活用シーン

チームマネジメント

内容

心理学者のジェニファー・オーヴァーベックおよびバーナデット・パークによる研究。

被験者たちに出版社の主任になってもらう。
彼らの仕事は在宅勤務をしている五人の校正者(仕掛け人)を管理すること。
つまり、被験者たちはパワー(権力)を持つ。

校正者たちは、仕事の進捗具合(どのような間違いがいくつあったか、どんなことに困っているかなど)を報告してきます。校正者たちには個人的なプロフィールが割り当てられていて、報告の際にその個性を表現します。

たとえば、ジョーは人がら良くて親しみやすい、サリーは頭が良くてテキパキしていると言った感じです。
主任役の被験者には次の二つの目標のうちのどちらかの達成を指示されます。

ゴール①部下たちにやる気と帰属意識を持たせること
ゴール②部下たちをより生産的、効率的に働かせること


この実験の結果、パワーを持つ人たちがゴール①のような目標を与えられたときには、部下ひとりひとりの違いをきちんと認識して、その特質を正確に見極める傾向があるという事がわかりました。

つまりあなたの場合で言えば、上司があなたに関心を持つときというのは、そうすることが自分の目標達成のために役立つときだという事です。

だれもわかってくれない: 傷つかないための心理学
ハイディ・グラント・ハルヴァーソン (著) 

この研究の主題は、パワーを持つ人は自分にとって見返りのある事をやる、という事です。このゴール設定で言えば、単に生産性を高めるゴール②の場合は、部下の人となりを見る必要はなく仕事の結果を管理すればいいわけです。だから部下の性格などはまったく意識しないのです。しかし、ゴール①に向かおうと思ったら、一人一人のパーソナリティに着目する必要があるわけです。実際に実験後に効くと、校正者一人一人のパーソナリティをそれなりに読み取っていたようです。そういったリーダーの自分の目標への有用性が見えることはやるけど、そうでなければやらない、という事がこの研究で分かったと言います。

だから、上司に自分の有用性をアピールしよう、というのが本書の文脈。

一方で、私個人的には管理職の役割を明確にすることの大事さを感じた研究でもあります。

多くの企業において、管理職に求められているのは、ゴール②ではないでしょうか。人格お構いなしで、数字としての業績だけを求めてきたのが昭和・平成的なマネジメントスタイル。日本全体が伸びていた時期であれば、直線的努力、みな同じ振る舞い、ルールで管理された中で頑張れば結果が出たので、これでうまくいったのでしょう。

しかし今の時代、ゴール②ではそもそも実績が期待できなくなっただけでなく、部下の精神的負担が増え、うつ病などがおこる原因になっているのではないでしょうか。

なんだかんだいって、今の時代はゴール②を目指すと、ゴール①も満たされることがある程度明らかにされています。それを知っていれば、多くのパワー保持者は、ゴール①を目指すことでしょう。そうすれば組織は大きく変わるかもしれないにもかかわらず、パワーで部下を従えようとするリーダーが多いのは、まだまだこういった認識が低いのかもしれません。

いつも思うのですが、この管理職の役割の認識を変えると、日本の企業はますますよくなる、そんな風に思います。そうなれば、仕事が楽しくなる人も増えるような気がするのですが、いかがでしょうか。


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