見出し画像

「謝礼」が献血者数を減らした実験

一言でいうと

金銭的謝礼は、献血を踏みとどまらせた

活用シーン

組織マネジメント、人事、教育

内容

1995年スウェーデンの経済学者が1970年のリチャード・ティトマスの仮説を実証すべく実験を行った。

血液センターで、これから献血しようとする153人の女性を選んだ。
その人たちを三つのグループに分けた。
A:献血は任意で、献血しても無償であると伝えた。
B:献血したものには一人50クローナ(約7ドル)の謝礼金が支払われる
C:謝礼金50クローナが支払われるが、それはそのまま小児がんの慈善事業に寄付すると伝えられた。

Aの献血率は52%。
Bの献血率はわずか30%。
Cの献血率は53%。


そもそも献血しようと集まった人たちのグループであるにも関わらず、50クローナの謝礼金は、「献血を踏みとどまらせる」効果があったようだ。
ちなみに、イタリア政府が献血協力者に「有給休暇」を支給した時は、献血は増加した。つまり、すべての報酬が悪というわけではない。

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』
ダニエル・ピンク (著)

この実験は、「報酬が献血を踏みとどまらせた」という事を明らかにしたと同時に、「その報酬が利他的な用途で使われる」とわかれば献血を促進する効果があったという事。

じゃあ、日本での「献血時にはジュースをもらえる」というのはどんな効果を及ぼしているのでしょうか。これは私の推測ですが、
●ジュースが予測しない思いがけないギフト、という状況であればモチベーションは上がる。
●ジュースが献血後の水分補給として必要なものである、という意味付けがなされていれば普通に受け入れられて、献血率を上げも下げもしない。
●ジュースを上げるから献血をしよう、ということになると、報酬になるのでモチベーションを下げがち。
といった感じの結果ではないでしょうか。

ここで個人的な考えをお話しすると、何物も外的な刺激でその人本人のモチベーションを上げることはできないと考えています。刺激はあくまできっかけで、そのきっかけを本人がどんな風にとらえるかで結果が変わります。金銭的報酬も、生活に困っている人にしてみれば、それは大いに心に火をつけるものとなるでしょう。

ただ、原則として、報酬は結果として手にするものであり、報酬が人の心を満たすものではないことを前提としていた方がよいのではないか、と感じています。


こんな本を書いてます。良かったら是非(^^)/


こんな心理実験集めたマガジンです。
よかったらフォローしていただけると嬉しいです。



頂いたサポートは、日本の二代目経営者のこれからの活躍を支援するために使わせていただきます。