Kaoru Sasahara

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最近の記事

お土産の寿命

先日私の実家に置いてあった学生時代の私物をいい加減に持っていけと親からお達しが来た。 ダンボールが何箱かあり、しぶしぶ自分の家へ持って帰った。 それを開けると学生時代のノートやら、アルバムやら、教科書やら、人からもらったお土産やら、思い出の品が出てきた。 当時私はアメリカの高校に留学していたので、現地の学校で使っていたノートやらを、チラシまでも丁寧に取っておいていたので量が多かった。 さて、これをどうするか。 私はそういった思い出グッズの品々は捨てるようにしている。例えば

    • 展示の片付けと怒りスタンバイ

      西日暮里にある、HIGURE 17-15 cas というギャラリーで個展をさせて頂いた。 以下、2件は展覧会掲載情報↓↓ (お越し頂いた皆様ありがとうございました) 今回の展示では、色々な人々に協力を頂いた。感謝御礼を申し上げたい。 展覧会では、記事の見出しにもある通り、2mを超える大型のノッポ椅子を展示した。 展覧会の終了後、すぐに作品を運び出す事ができなかったので、近くに住む知人の車庫ガレージに一時的に置かせて頂けることとなり、ノッポ椅子作品達は、会場から外を出て

      • Do you understand?

        今私は一軒家でハウスシェアというか、家の一部屋が余っているのでそこを借りさせて貰い、リビングやキッチン、風呂、トイレは共同で使わせて貰っている。 私は来月に自分の個展があり、そのための制作作業をベランダで行っている。広さは大体4畳ぐらいだろうか。 そこで作業をする上で私には一つ懸念点がある。隣に大家のお婆さんが住んでいる事だ。2軒家が建っており、その間にベランダがあるのだ。 ガンガン音を立てながら作業をしていると、向かいの扉が開き、大家のお婆さんが挨拶をしてくる。 「何か

        • チャリカゴクロニクル

          駅前や、大通り沿いに自転車を停めていると、俺の自転車カゴにはしょっちゅうゴミが捨てられている。 ペットボトルや、空き缶、レシートが入っている事が多い。 空き缶と言っても、飲みかけの缶チューハイだったり、10円玉入りグシャグシャレシートだったり、様々だ。 カゴには雨避けカバーが常に自分の荷物のクッション代わりとして備わっているので、ゴミが敷き詰めらた放置自転車に見えやすいのかもしれない。風呂で使うカラフルな緑色のボディウォッシュのゴシゴシが更にゴミ感を漂わせる。 で、この

        お土産の寿命

          逮捕された犯人の裁判へ行った話

          遡って数ヶ月前、祖母がオレオレ詐欺に遭う事件があった。 (え?何があったの?という方、詳しくはコチラ↓) 先日その犯人の1人が捕まったのである。寝耳に水だった。 捕まった、とはいえ、指示役の言われた事だけをする下っ端役のいわゆる「受け子」の人である。37〜8歳の女性だった。 末端の「受け子」が逮捕されたところで、「回収役」「指示役」はどこかで何かをしている。 トカゲの尻尾をゲットしたところでトカゲ本体はまたどこかで何かをしている。 そんな訳で裁判が公判されたので、興味本位

          逮捕された犯人の裁判へ行った話

          善人達とタオル

          僕は道を歩いている時、何かと物をよく拾う。 割れたiPhone、鍵、筆箱、QUOカード入り封筒、Suica、PASMOといった電子マネーや、定期券、キャッシュカード、クレジットカードetc...数知れずだ。 カード類は特に多い。 現金であれば大体はそのまま貰っているが、物品だと価値に限らず「これをどうしようか」と考える。 交番に届けたら、もちろん書類を書かされる。そこで「届け主(自分)の情報を、落とし主に公開するか?」という欄がある。警察は基本的にこれを良しとしておらず

          善人達とタオル

          地上の陸上部

          私の中学校生活の3年間は陸上部であった。走るためにある部活動だ。 しかし私は走ることが嫌いで仕方がなかった。 今でも嫌いだ。 そんな嫌いな陸上部を特に理由無く卒業まで続けた。 「まぁ健康のために」と将来何か自分のアドバンテージを得られればいいかなとザックリした理由を付けていた。とても安易だ。走っていれば良い訳ではないと今では思う。 全国大会出るぞ!とか大会記録破るぞ!というような目標は特には無く、細々と、淡々と、しっとりと、3年間走っていた。 映画「フォレストガンプ」のよ

          地上の陸上部

          床屋の干し柿

          近所の床屋へ散髪に行った時に、そこのおばちゃんから柿をもらった。干し柿にするためのビニル紐が付いた状態で渡された。 皮は剥かれていて、まだ水分で潤った状態だ。どのくらい乾燥させればいいのかおばちゃんに尋ねると、 「日に当たる所で干して、80代ぐらいのおっぱいになったら食べ頃」とのこと。 うーん… 僕は80代ぐらいのシワシワになったおっぱいは見たことがない。どのくらいシワシワなのだろうか、正直想像したくはない。が、おばちゃんから言われた通り、まぁ80代の乳房はこんぐらいかなーと

          床屋の干し柿

          祖母が詐欺に遭った。

          朝9:00、布団の中でごろごろしていた。気持ちがいい。このまま入っているとまた眠ってしまうので、起き上がるかどうか迷っているところに、祖母から電話が入った。朝から何用だろうか。僕は起き上がって電話に出た。こうして時々電話が掛かってくる。 「元気かー?」と来た。祖母の普段の挨拶だ。 僕も普段通り「うん」と答える。 「大丈夫かー?」と言ってきた。僕は「う、うん」と答える。 祖母は何の心配をしているのだろうか。僕が病気しているとでも誰かが間違った噂でも流したのだろうか。 「お前

          祖母が詐欺に遭った。

          友達の作り方

          この前、浅草の安い大衆居酒屋でギューという友達と酒を飲んでいた。沢山の人で賑わうざっくばらんな店だ。 人で混み混みの中、すぐに席に座る事ができた。隣にはワイシャツ姿の50代ぐらいの男性がスマートフォンと向き合いながら1人で酒を飲んでいた。そしてその席だけ何故か隣の人と距離がすごく近い。小中学校の隣席ぐらい至近距離だ。その男性が何を飲んでいて、何を食っていて、何をしているのかが見える。とにかくそのぐらい隣にそのオッサンがいるのだ。そしてその人がスマホで何の画面を見ているかも手

          友達の作り方

          日陰

          帰宅途中、東京駅で20代ぐらいの男性2人に声を掛けられた。東京駅周辺で開いているお店はあるか、とのこと。 時短営業の影響で開いているお店は少なく、インターネットの情報も役に立たない事が多い。 生憎僕は東京駅周辺のお店はどこも知らない。なのでその2人には「東京駅でなくてもいいなら移動して神田に行くと良い、神田駅のあそことあそこと…」と、開いているお店を伝えた。 そのうちの1人が「詳しいですねぇ!お兄さん東京の人??」彼はハキハキと話題を広げてきた。 「ええ、そ、そうです、」

          餃子

          近所のスーパーへ向かう途中、餃子の王将に沢山の人が店の外で溢れ出ていた。なんだろう、何か事件でも起こったのだろうか、しかし救急車やパトカーはそこにない。それとも芸能人でも来ているのを見に来た野次馬かと思ったが、みんな特に誰かを注目しているような状態ではない。とにかく人が店の外に溢れ出ている。 近くに寄って見てみると行列ではなく、ただ人がウジャウジャ沢山いるのだ。おじさんが「昨日にテレビでやってたんですよ!ゴールデンで!それでこのザマですわ!」と気さくに話しかけて来た。この盛

          コロナパラドックス銭湯デー

          知人と銭湯へ行った。古くからある落ち着きを感じさせる銭湯だ。 その彼とは(やっぴと私は呼んでいる)一年に数える程度しか会う事が無いのでお互い話す事が沢山ある。そんな中で裸になって一時を過ごす銭湯は心地が良いものだ。 風呂から上がって、脱衣所で着替えながら私たちは喋っていた。突然男が、浴場内の張り紙の一文にトントンと指を置き「喋り禁止って書いてあんだろ」と注意をして来た。私達がうんともすんとも言う間も無く、スタスタとその男はマスク姿のまま、風呂場へ入って行った。 その場で直ぐ

          コロナパラドックス銭湯デー

          新橋の或る冬

          或る冬の日、新橋へ出た。SL広場の路上でポツンと腰を丸めて人々の靴を磨く女性がいる。 「靴磨き」だ。学生の時に教科書で見た事がある。 僕は丁度その時ブラブラしていて、革靴を履いていたので、磨いて頂く事にした。値段はおいくらと尋ねたら500円とのこと。や、安い!もう少し値段が上かと予想していた。 JR新橋駅の高架下には、靴磨きと靴修理のテナントが入っていた(しかもそれは彼女の向かいの位置にある)。僕は迷わず彼女をチョイス。 磨いてもらっている最中に話を聞くと、彼女はもうすぐで

          新橋の或る冬