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すっぱうまい!! トマトを使った新感覚のけんちん汁

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今日ご紹介するのは「トマトと豆腐のけんちん汁」。トマトの酸味が心地よく、疲れた体をやさしくいたわります。お肉を加えたり、冷汁にしたりとアレンジも自由自在。この連載を元にした書籍『スープ・レッスン』も好評発売中です。

この記事は2019年のcakes連載の再掲です。

昆布のだしを使って作る、精進スープ

じめじめした季節、パッと目の覚める鮮やかなけんちん汁は、いかがでしょうか。けんちん汁といえば、炒めた野菜と崩した豆腐を合わせた澄まし汁。今日は、真っ赤な完熟トマトを使います。赤いトマトと白い豆腐の組み合わせがなんともいえず愛らしいビジュアル。

トマトも豆腐もうまみのある具材ですが、少し昆布で味を補いました。こうすることで、野菜だけでもぐっと深い味わいになります。ごま油はコク出しというよりは、風味づけにちょっぴり使う程度。
あっさりしていながら、じわじわとくるうまみとトマトの酸味、そして豆腐のやわらかさが後を引くおいしさです。

味も純和風というよりは、なんとなく無国籍風で、パンにも意外に合います。これからの時期の、完熟トマトで、ぜひつくってみてください。


トマトと豆腐のけんちん汁

材料(2人分) 所要時間10分

トマト 大1個(300g)
豆腐 200g(1/2丁)※絹ごしでも木綿でも
昆布 5~10センチ(約5g)
ごま油 小さじ2
塩 小さじ1
水 400mL

作り方

1. 豆腐とトマトの下ごしらえ
豆腐は少し傾けた台にのせ、重しをのせて水をしっかり切る。
トマトはへたをとり、ざく切りにする。★1

2. トマトと昆布を蒸し煮する
昆布を鍋底に置いて、トマトをかぶせるように入れ、塩ひとつまみ(分量外)、水100mLを加える。ふたをして中火で3分ほど煮る。★2

3. 豆腐を加える
水300mLと塩を足し、豆腐を手で崩して加える。あたたまったら昆布をとりだし、弱火で3分煮る。ごま油を加え、味を見て塩でととのえる。

レシピのポイント解説

・豆腐の水切りと、トマトの水分
・昆布について

★1 豆腐の水切りと、トマトの水分

まずは、豆腐の水切りです。豆腐は、木綿でも絹でもお好みで。今回は、やわらかい絹を使ってみました。

豆腐は、少し傾けたまな板や皿に置いて、上に皿など重しをのせて30分ほど置きます。

まな板を使ってやるときは、坂になった下の部分を流しの上に出しておくこと

キッチンペーパーなどで包んで、レンジにかける方法も手軽です。豆腐が熱くなってしまうので、少し冷ましてからさわりましょう。

600Wなら1分半ほど加熱。豆腐の下にもペーパーを入れておくとよい。ラップは不要

豆腐を水切りするのは、スープの味が薄まってしまうのを防ぐためです。豆腐は入れた後から水が出てくるため、スープの味付けが狂うのです。

トマトの果汁はうまみにつながるので加えても味が薄まることはありません。
トマトを切るときに、よく切れる包丁だとあまり果汁は出ませんが、切れない包丁でつぶすような切り方をすると、果汁が出てしまうことがあります。その場合は、果汁ごと鍋に加えましょう。

トマトはへたをとってざく切りに。切るときに果汁が出てしまったら、果汁ごと鍋へ

★2昆布について

昆布は、産地などによってタイプがありますが、どれもだし昆布として使えます。

だし用として売られているものなら大丈夫

よく、料理のレシピ本を見ると「昆布5センチ」などと書いてあるのですが、細い昆布も、幅広の昆布もあります。

幅のある昆布なら6~7cm、横幅がそれほどないなら15〜20cm入れましょう。(昆布がない場合は顆粒のだしの素を小さじ1/4ぐらい加えます)

同じ長さだが、重さにはかなりの差が

昆布だしは、手軽な方法で取ります。鍋に入れてトマトと一緒に煮出してしまいます。ほんの少しの時間一緒に煮出すだけで、昆布のうまみは案外移るものです。
昆布と昆布だしについてもう少し知りたい人はこちらで!

鍋に昆布、トマト、塩ひとつまみ(約1g)、水100mLを加えてふたをして加熱します。塩はトマトから早く水分を出すためです。

昆布は一番下に入れて、水につかるようにする

3分ふたをして蒸し煮すると、トマトは煮崩れてしまいます。

トマトから水分が出て、昆布のだしも移っている

この状態にしてから、残りの水300mLを加え、水切りした豆腐と、塩を加えます。沸騰したら弱火にして、昆布を取り出してしまいます。豆腐に味がなじむまでさらに2~3分煮たら、できあがりです。
ごま油は火を止めたあと、仕上げに使って香りを立たせます。

煮込みすぎると昆布臭くなるので注意

体はいたわりつつ、気分を上げる

雨が続く梅雨どきは、なんとなく体調がすぐれなくなる方も多いのではないでしょうか。体をいたわることも大事ですが、欝々とした気分をリフレッシュすることも必要です。栄養のことを考えるより、好きなものを思い切り食べたり、料理そのものを楽しむことで気持ちから健康に。

このけんちん汁は意外な組み合わせながら、トマトの酸味を豆腐がやわらげて心地よく、赤と白の組み合わせも目に華やか、気分も楽しくなるスープです。さっぱりしているので、肉料理などのお供にもいいもの。

新感覚の精進スープで、心もからだも健やかに、6月をお過ごしください。

【アレンジ】肉や野菜で食べごたえに工夫を

豆腐、トマト、昆布とうまみのベースがしっかりしているこのスープ。豆腐と昆布は比較的ニュートラルなので、トマトと相性がよい食材を考えるとうまくいきそうです。具材を加えてボリュームアップさせたり、香りを加えると、メインにもなる一椀になります。

肉入りのトマトけんちん汁

細切り牛肉を加えてボリュームアップ。鶏や豚でもOKです。肉はスープのだし目的ではないので、最後の豆腐を入れて温まったところに少しずつ入れて、弱火で静かに煮ましょう。柔らかくおいしく食べられます。

トマトの冷やしけんちん汁

暑い日には、冷やしてどうぞ。香りがほしいところなので、刻んだ大葉を使います。少し濃い目に味をつけてごはんにかけて、塩味の冷汁みたいにしてもいいかもしれませんね! 写真はプチトマトで作りました。


いかがでしたか?
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