|10|からつづく
1⃣使いやすいのは「直喩」「隠喩」「擬人法」の3つ
さて、実はこのジャンルでは『日本語のレトリック』(瀬戸賢一著/岩波ジュニア新書)という名著があります。わりとこの本の分類に依拠して論じられている方も多いようです。「ジュニア」向けを超えてますね。
先にこの『日本語のレトリック』での定義を抜き出しておきますね。
さらに、換喩、提喩、諷喩についても抜き書きしておきます。
説明文はやけに難しいですけど、例を見るとわかりやすいですね(これも実は比喩のおかげか!)。
アレゴリーとは比喩なの? と気になったので、もう少し引用してみます。
さて、話を戻します。
本書の66~68ページに例文がたくさん載っているのですが、上の引用で十分かなと思いますので、割愛します。
ちなみに、「春雨やものがたりゆく蓑と傘」という与謝蕪村の俳句は、絵画的にイメージが浮かぶ面白い句ですね。
それから、分かりやすいテキストとして、NHK高校講座テレビ学習メモ(ベーシック国語第31回「比喩表現」)というのを見つけました。解説が分かりやすいので、のぞいてみてください。
では、例文を見ていきましょう。
小説の文章が多くなります。
芥川賞作家柳美里さん『JR上野駅公園口』(河出文庫)より。
いかにも比喩というような比喩は使ってませんよね。でも、比喩のあることで、その場面の雰囲気や主人公のようすがありありと浮かんでくる気がします。
直木賞作家荻原浩の傑作『僕たちの戦争』(双葉文庫)より。(注釈をいれると、軍国少年だった主人公が21世紀にタイムスリップ、逆に現代のフリーターが戦時中にタイムスリップしたという設定のお話で、ここは現代にある軍国青年が「渋谷」を訪れたときのようすです。)
|12|につづく