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「囀る鳥は羽ばたかない」本誌最新話の考察

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囀るを読んで傷つく人

正確には、古傷が痛む、閉じかけていた傷口が開く、というべきか。

56話公開後、私は50話の時同様どんよりと苦しい気持ちになってしまった。前向きに主人公の二人の関係性が進んだと湧き立つファンの人たちのコメントを見ながら、自分の中ではむしろ逆行したように思えてひどく落ち込んでしまった。

作品自体がいつもセリフや情景で事細かく説明されているわけではないので、いろんな解釈があるのは理解している。けれど

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56話の考察

読み終えて、ラストが衝撃すぎてまだいろいろな感情を消化しきれていませんが、7巻以降見えなかった百目鬼の心の内がだいぶ明らかになってきたようなので、まとめてみました。忘れないうちに書いておきたいので、時間経過とともに加筆・修正するかもしれないのでご容赦ください。

百目鬼は矢代が「逃げた」と思っている冒頭のモノローグで「逃げないように」という言葉が出てきた。これまでで百目鬼が矢代について「逃げる」と

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54話のネタバレ(2023.10.3時点)

とりあえず、思いついた内容は推敲せずに列挙していきます。

百目鬼はどうやって甲斐ことを知ったのか

矢代さんから井波との電話を奪った後、連に七原が撮ったKビルの連中の写真を送ってやりとりをしているので、おそらく連からそれが誰かを知らされたと思われる。独自に調査して一人だけ知っていたというのではなさそう。

囀るキャラはレクサスの常顧客

矢代さんが今回乗ってきたのも比較的新しいレクサス。53話で

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52話の考察(本誌・ネタバレ有)

(2023/08/06 01:50更新)

矢代を優しく抱かない百目鬼51話の終わりであのまま以前のように百目鬼は矢代を抱くのか、それとも極道に入った際に抱いた決意に背かず何もしないのか、あるいはどちらともいかないうちに横槍が入るのかのいずれかと思われたが、結局百目鬼はあのまま矢代を抱いた。しかし、それは5巻の時とは真逆の激しいものだった。

途中までは、以前と同じようにとはいかないまでも「犯す」

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51話から見えた7巻以降の百目鬼の心

※51話のネタバレを含みます。

51話を経て、7巻以降全く描かれていなかった百目鬼の心の内がようやく見え始めたと思う。セリフとして書かれていないことは主観による推測の域を得ないが、極力そう考える根拠を踏まえた上で、以下のように推測する。

百目鬼の刺青と決意51話で百目鬼が背中に刺青を入れていることが判明した。百目鬼の背中の刺青と言えば、美術手帖のインタビュー時に公開されたコンセプトアートがまず

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51話の考察(本誌・ネタバレ有)

50話最後の百目鬼のセリフ「俺が犯せば満足ですか」で、51話は地獄展開になると思われたが、さすがヨネダ先生と言うしかない展開だった。23、24話に並ぶ心が揺さぶられる回だと言って間違い無いと思う。

乱暴にできるはずがない50話の最後を読んだ時点では、51話冒頭で百目鬼は烈火の如く怒り、見えなかった顔は鬼か明王の形相で、矢代はもっと暴力的な扱いを受けると思われた。しかし、予想外にも紳士的に連れてい

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50話の考察(本誌・ネタバレ有)

(2022.12.22 20:09更新)

百目鬼の最後のセリフ

「俺が犯せば満足ですか」
というのは裏返すと、百目鬼が矢代を犯さないので満足できずに城戸のところへ来たのか、と聞いていることになる。

つまり百目鬼は矢代が他でもない「俺」を求めていることを明確に解っていることになる。

問題なのは「俺」を欲しがっているという認識は正しいが、矢代が百目鬼に求めているものは「犯す」ことではないことに

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