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読書感想文             「神様のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」

読んだ本:

菊池真理子(2022)「神様のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」文藝春秋社


読んで一言

「それって変じゃない?」っていう感覚は大切!
宗教を持っている人も、持っていない人も必読!!

本の概要

宗教を持つ家庭で育った子どもの戸惑いや苦しみをオムニバス形式で紹介するマンガエッセイ。
いわゆる「宗教2世問題」がテーマ。
全体的に淡々とした書き方だが、所々激しい暴力や怒鳴り声を示す描写もあり、「宗教」を後ろ盾にして親が子どもを圧迫していった様子がありありと伝わってきた。

心に深く残った場面&私の経験

読んだ直後は、憤りというよりも信じられないという気持ちが強かった。
個人的に深く同情したのは、教義を理由に皮膚炎の薬を使えなかったという体験談。
輸血を禁止している宗教があることは知っていたけれど、薬を使うことさえも悪く思う宗教があるなんて・・・とてもショックだった。
実は・・・
私も子どもの頃、皮膚が弱く、あせもなどでいつも痛痒い思いをしていた。
特に汗をたくさんかく暑いシーズンは、膝と肘の裏側、首まわりが湿疹だらけになった。
無意識に掻いてしまい、血が出ることも少なくなかった。
夜は痒くて目が覚めることもあって、本当に辛かったなぁ・・・
掻きむしってガサガサになった肌は見た目も悪かったから、友達からどう思われているのかも気になった。

私は病院に通っていたし、薬も塗ってもらえた。それでも辛かった。
でも、この本に出てきた男の子は、親が信じていた宗教のせいで薬を塗ることもできず、痛痒いのをただ我慢するしかなかった。
それどころか、皮膚炎を「先祖のせいだ」と言われてしまう。
男の子の父親はお医者なのに、ただ見ているだけ・・・

親御さんが信じていた宗教では「皮膚炎で苦しんでいる子供をなぜ放っておくの?」っていう疑問は、下らないもので、
それよりも「教えに従うことが何よりも大切」ってことなのかもしれない。
皮膚炎って地味に思われるかもしれないけど、結構辛いもんなんですよ・・・(涙)

この本を読んでの感想

意味わかんないことに従ってしまうこと、従うことを軽視してしまうことって宗教に限らず、日常的にあることなのかも。
たとえば、部活動で意味わかんないルールに従わざるをえないことも「よくあること」なわけで。
その背後に監督やコーチからの暴言や体罰を受け入れざるをえないっていう状況も「よくあること」。
でも、それって変だよね。

「それって変じゃない?」って思うことは日々たくさんある。
そして、そのことをよく考えることなく、見過ごしてしまうことが多い。
でも「それって変じゃない?」って思われることの背後に、悲しんだり苦しんだりしている人がいるという現実がある。

この本が光を当てている「宗教によって強いられる生きづらさ」は、親による虐待または不適切な養育によるものだと考えるべきなんじゃないかと思う。
日本では「家庭の問題には口を出さない」という傾向が強いけど、そんな考えだと、虐待や不適切な養育の問題は解決しない。

抵抗できない弱い立場の子どもが苦しんで、その苦しみが大人になっても影響している現実があるってことに向き合わないといけないと思った。

というわけで、繰り返します。

「それって変じゃない?」っていう感覚は大切!
宗教を持っている人ももっていない人も必読!!

以上です。
拙い感想文を読んでくださってありがとうございました。



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