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「だいなし」食事に夢中な虫達はトマトジュースのプールで溺れてしまいそうです・・・

生徒さんが作品に取りかかる前に何を描くのかを
話し合う時間を設けています。
・こんなに素敵な風景を、こんなにかわいいペットを絵にしたい。
・こんなに哀しかった思いを、絵に残しておきたい。
・こんなに嬉しい事を、みんなに伝える為に絵にしたい。
それぞれの想いや感動や想像があって、モチーフは決まって来ます。
そんな想いのこもった生徒さんの作品を、
ご紹介していきたいと思います。           若林 薫


だいなし   F8(45.5×33.3)㎝  アクリル画   MNさん


作品のタイトルが「だいなし」と付いていました。
完成した作品を受け取った時に
すぐに そのタイトルの持つ意味を良く理解出来ずにいました。

しばらく作品をながめている内に おいしそうなトマトも生産者にとっては
虫食いトマトになって「だいなし」なのですね。
ところが虫達に言わせれば「ごちそうさま」なのでしょう。
どちらの立場に立ってこの作品を鑑賞するのかで
題名の有り方が大きく変わる様な気がします。

生産者がせっかく大事に大きく育てたトマトかもしれませんが
虫達にとってはこの上ないごちそうなのです。
たくさん集まった虫達の食事中の音が聞こえてくるようです。
完熟したトマトは少し酸味があって糖度も高く
食事に夢中な虫達はトマトジュースのプールで溺れてしまいそうです。

F8号の画面いっぱいに描かれたトマトは
シュールレアリズムの作家マグリットの「リスニングルーム」を
想わせますが 作者独自の視点で描いたのだと思います。
真夏の青い空に真っ赤なトマトをモザイクタイルの技法を
使用して埋めています。
 
農地で作業する人達をミニチュアで描き込む事で
トマトの存在の大きさや虫達に「だいなし」にされた生産者の残念さが
デフォルメされ その思いをより強く感じてしまいます。
作者の虫に対する愛情と 作物を大切にしたいとの思いも
同時に感じ取る事が出来ます。
作者の豊かな発想力は 今後の作品展開を
楽しみなものにさせてくれます。         絵画講師 若林薫 評





MNさんの前回の作品





たくさんのスキをありがとうございました。





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