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複雑にからみ合って・・・

生徒さんが作品に取りかかる前に何を描くのかを
話し合う時間を設けています。
・こんなに素敵な風景を、こんなにかわいいペットを絵にしたい。
・こんなに哀しかった思いを、絵に残しておきたい。
・こんなに嬉しい事を、みんなに伝える為に絵にしたい。
それぞれの想いや感動や想像があって、モチーフは決まって来ます。
そんな想いのこもった生徒さんの作品を、
ご紹介していきたいと思います。           若林 薫



相 違   S30(91.0×91.0)㎝   アクリル画   MIさん


画面を縦横に走る線は幾重にも重なり
複雑にからみ合っています。

作者は何をこの画面に織り込もうとしたのか?
からみ合う線をそれぞれにたどって行くと
その先に幾何学形態の円や三角形が現れて来ます。

それは世界の人種や国家かも知れません。
更にもう少し小さな単位で考えると
家族の中の人間関係を表しているのかもしれません。

それぞれに違った年齢や性別や思いを持って
ひとつの屋根の下に暮らす事は
行き違いや思い違いをして解こうとしても
更にからみ合う事になってしまったりします。
それでも気長に1本1本をほぐして行くと
きっとさわやかな青空が見えて来ると思います。
 
作者はゆるく溶いたアクリル絵の具を
次々と画面に流し込むウェットインウェットの技法で
絵の具が自然ににじむ様子を創り
乾燥後に加筆し背景を作り込んでいます。
からみ合う線を描き その上に太さ3㎜程の紐をビスで固定しながら
張りめぐらせて緊張感の有る画面を創出しています。

この作品は2023年第71回平塚市文化祭で優秀賞を受賞しました。

                   絵画講師 若林 薫 評




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