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詩集 心の詩(うた) 2

自分という完全なるもの

「自分には何かが足りない」という欠乏感に
いつも苛まれていた。
だからこんな人生、こんな自分なのだと。

自分を認めることなど出来なかった。
褒めてあげるなんて出来なかった。
いくら努力しても、どんなに頑張っていても、
そしてそれによって疲れ果て、傷ついていたとしても、
決して自分を休ませることなどしなかった。

「もっと、まだまだ、もっと」と。
理想の自分が達成出来るまで、果てしなく自分を
「自分の考える完璧」へと駆り立てていった。

今、ポケットの中にたくさんのコインや紙幣や、
人びとが賞賛する才能、うっとりするような容姿も決してないけれど、
夜空の星や月、色とりどりの花たち、青の空に浮かぶ真っ白な雲、
街を茜に染めてゆく真紅の夕日など、
仕事や雑多な物事に、多忙を極める他のどんな人よりも、
こうしてたくさん、ずっといつまでも眺めていることが出来る。

こんな豊かさ、こんな幸せがあるだろうか?
お金や才能、容姿や地位という物差しを捨て去るとき、
実は自分がどれ程豊かで、恵まれているのかということに気づく。
そして完全であり、欠けているものなど何一つないことに。。。

本当の幸せは、いつだって私のすぐそばにある。
幸せとは、決して苦労の果てに達成するものなどではない。
いつも自分と共にあって、
瞬間ごと降り注いでいる、まさに贈り物なのだ。
そしてそれは、私に気づかれることを
ずっと辛抱強く待っていてくれるものなのだ。

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