【教員サイド】問題集の解答は、配布する派? 配布しない派?
教科指導の補助として
ほとんどの教員は問題集を購入し生徒に配布しています。そのとき、
解答も一緒に
配布する派
配布しない派
に分かれます。
私の場合、若い頃は配布しない派でしたが、
数年で配布する派に鞍替えすることになりました。
配布しない派の理由
配布しない派の理由としては
①解答を写すだけになってしまわないようにするため
②自分で勉強させるため
というのが主なものになります。
私も若い頃は苦手な生徒たちほど勉強させたいと願い、
解答を配布せず、提出期限の少し前に解答を配布して答え合わせをさせ、
提出するようにしていました。
しかし、教員としての経験を重ねるにつれて、解答を配布しないだけでは、
上記の①②の目的を達成するのは難しく、
むしろデメリットのほうが多いと感じるようになりました。
①解答を写すだけになってしまわないようにするためについて
解答を写すだけの生徒は、大きく分けると
時間をかければできるけど面倒だから写しているタイプと
わからないから写すしかできないタイプ
の2通りあります。
だから、
解答を問題集と一緒に配布されていようが、
提出期限の際に配布されようが、
解答が配布されたときにそれぞれの理由で写すことになるため、
いつ写すかが異なるだけで行動が変化することはありません。
解答を写す行為を改善させるためには、解答を配布せず、
答え合わせを教員が行うしかありませんが、
生徒全員に対して実施するとなると時間的に不可能です。
またその場合、それらの生徒は
提出しない、または、提出できない
という状況になってしまうことが考えられます。
つまり解答を配布する、しないの運用だけでは、
解答を写して提出するという行為を
改善させることは難しいということです。
解答を写すことは「悪」なのか?
そもそも解答を写すことが本当に「悪」なのでしょうか。
たとえば、解答を写す際に
・解き方を理解する、覚えるように努力する
・写した後、もう1度同じ問題を解答を見ずに解いてみる
などのように指導すれば、
今までただ作業のように解答を写してきた生徒のうちの何人かは
解答を写すことによって勉強するようになるかもしれません。
解答を写すときのたった一度であっても、
その問題の解き方にふれることができるので、
何もしないより役立つ可能性はあると思われます。
勉強が苦手な生徒が
解答を写してまでも提出しようとする努力を
認めてあげてもいいのではないかと思うのは私だけでしょうか?
②自分で勉強させるためについて
勉強が得意な生徒は、
解答がなくてもスムーズに問題集を進めることができます。
しかし、解答が配布されていないと、
即時に自分の考えが正しいかどうかをチェックすることができないため、
もし間違えていたとしても気づくことができません。
また、いくら勉強が得意だからといっても
すべての問題に対応できるわけでなく、
解けない問題も出てくるはずです。
そして、どんなに考えてもわからないときは、
答えを知りたいと思うのが自然でしょう。
そのときに解答があれば解決できますが、
解答が配布されていない場合はあきらめるしかないため、
学習への熱意が冷めてしまいます。
あとで解答が配られたとしても、
そのときに何を考えていたかという記憶は薄まっており、
わかりたいという意欲も減退しているため、
ただマルやバツをつける作業になってしまいがちです。
いわんや、勉強が苦手な生徒の場合、わからない問題がいくつもあるため、解答がなければ、その都度、教科書やノート、参考書、辞書などを引っ張り出して調べなければなりません。
教員としてはその行為を期待して
解答を配布していないのかもしれませんが、
苦手な生徒ほど、その労力と時間は多大なものになるため、
勉強への負担が大きくなり学習への意欲は損なわれていきます。
最初、1問1問、丁寧に調べていたとしても、
遅々として問題集が進まなければ
げんなりしてしまうのは無理ありません。
最悪、勉強な苦手な生徒たちが
今まで以上に勉強から距離をおいてしまうという悪循環が生まれます。
学習習慣を身につけさせたいのであれば、
最初は負荷がかからないようにするべきでしょう。
だから、苦手な生徒ほど、解答を配布して安心した状態で
学習できる環境をつくる必要があります。
そして解答を見ることを「悪」と見なさず、
・数分考えてわからなければ、すぐに解答を見る
・解答を見て解き方・考え方を理解する
・解答を参考に自力で解いてみる、覚える
という学習の仕方を指導できれば、
苦手な生徒のうち何人かは学習習慣を改善できるかもしれません。
〇問題に対して、考えた解答をアウトプットする
〇アウトプットした解答が合っているかどうか確認する
この1セットが学習するという行為になるため、
問題集の解答は不可欠です。
結論
以上のことから、
解答を配布しない場合のほうがデメリットが多い
と考えられるため、私は解答を配布するようになりました。
先生との交渉
もし、本気で勉強したいのに
解答を配布しない派の先生と出会ってしまった場合は、
丁寧に交渉してみるのもいいかもしれません。
(即時に正答を確認する勉強法のメリットを主張し、
解答を配布してもらうように懇願する)
「問題を解いてすぐに答え合わせをして、
自分の考えが正しいかどうかを確認したい」
「答え合わせをして間違った問題は、
すぐに別のノートに書いてやり直したい、覚え直したい」
(配布しなかった場合に起こるデメリットを説明する)
「わからない問題があった場合は空欄になってしまうが
了承してくれるのか?」
「問題を解いていてわからない内容があったとき、
あとで解答を配られてもその時点ではもう忘れてしまっている。
わからないと思った瞬間に解決したいと思っているが、
解答がなければそれができない」
「解いたとしても、それが本当に合っているかどうか不安なので
すぐに答え合わせをしたいと思っているが、
解答がなければ確認できない」
「解答がなければ自分のした勉強に成果があるのかどうかがわかりにくい」
など…
ただし、先生を理論武装で言い負かして
解答配布の権利を勝ち取れたとしても、
先生サイドにわだかまりが残ってしまう可能性があるので、
完全論破はおススメしません。
あり得ないとは思いますが、
そのことによって生徒サイドが不利益を被ってしまえば、
別のトラブルを抱えることになり時間の無駄になってしまいます。
きちんと話をすれば、理解してくれる先生がほとんどなので、
先生と対立関係をつくるよりも協力関係をつくるほうが
今後のメリットが多いと思われます。
社会勉強?の一環としてうまく交渉する練習だと思えば、一石二鳥です。
ちなみに、私は高校の頃、数学の先生に
「夏休みの宿題を解いたけど、
合っているか不安なので答え合わせをしたい」
とお願いしたら、すぐに解答を渡してくれました。
そのおかけで宿題がスムーズに行えたことはいうまでもありません。
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