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今はもう消えてしまった京都の本屋のはなし・9


この記事を更新するのはあまり嬉しくはないのですが……。
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京都市内在住の方は「今の時期にこのタイトル記事ということは、あそこだな」と勘づかれているかと思いますが、そう、ここです。
アバンティブックセンター京都店。


もともとは、まさに「(株)アバンティブックセンター」という名前の大阪の書籍販売会社が運営していた書店。
「アバンティブックセンター」と「アミーゴ書店」の2形態の書店を関西で展開していたのですが、2021年に解散。その当時に開いていた33軒の書店を、店名はそのままにブックファーストが事業継承しました。

……とは言え、もともとアバンティの方の代表者だった佐薙大輔氏、去年ブックファーストの社長になられてるんで、経営の手腕はバッチリお持ちなのだろうなぁ。
ブックファースト、京都にはすっかりなくなってしまったのでまた戻ってきてほしい。行く機会は少なかったですが、四条大宮店が何とも言えず好きでした(2020年12月閉店)。


そんな訳でアバンティブックセンター京都店(長いので以後「アバンティ京都店」で)。
ここ、「アバンティに入ってるからアバンティブックセンターなんだ」て思っていた京都人が大多数だと思います。わたしもそうでした。

でも上の通り、「本屋のアバンティ」と「商業施設のアバンティ」は全然関係がなかった。道理で、白梅町店とか長岡店とか、「なんでアバンティに入ってないのに『アバンティブックセンター』やねん」というお店が何軒もある訳です。昔何かで知って、その時は本当に驚きました。
ちなみに「AVANTI」てイタリア語で、「前進」とか「先へ」みたいな意味があるそうな。


アバンティ京都店は、商業施設としての「京都アバンティ」がオープンした1984年にテナントとして開業。今年で40年となる老舗書店です。
もともとは6階フロア全部が大きな本屋だったけれど、近年になってアニメイトやゲオがフロアの一角にオープンして売り場面積が激減したのと、自分の通勤圏の変化や引っ越して距離が大分離れたりした為に、最近はめっきり足が向かなくなってしまっていました。申し訳ない。

ここの強みは専門性の高さ。中でも赤本や参考書の品揃えと、鉄道やバスなどの交通系本の充実ぶりはピカイチのものがありました。全体、理系本に強かったように思います。
赤本が日本の北から南まで、ずら〜っと並んだ姿は大変な圧があった。
逆にお店の中央付近の棚は高さが低めで、すーっと見通せる気持ちの良い空間でした。
各出版社のフリーペーパーなんかも良く揃っていて、あさり甲斐がありました。

今はヨドバシカメラがあるんでいいんですが、それ以前は京都駅周辺って文具店不毛地帯で、そんな時に頼りになるのもここアバンティ京都店(昔はポルタにも文具店があって、すごく良い店だったけどいかんせん小さかった)。実用文具とかわいい系文具がバランス良く揃っていて重宝していました。
最近、店舗面積が減った後にも文具コーナーはあったけれども、おシャレ系やかわいい系が大分強くなって実用方面が少なくなってしまったのはちょっと残念でした。それはそれで好きなんですけどね。


大変間抜けなことに、最終日を今月末日と勝手に勘違いしていて、「そういえばもうすぐ閉店か、覗きに行かなくちゃ」と足を伸ばしてみたら既に閉店、という情けない不始末をさらしてしまいました。ショック。
40年だもんな。長いことお世話になっていたのに、こんな不義理なお別れになってしまい本当に申し訳ない。もう一度あの棚を見たかったな。

アバンティブックセンター、市内だとあとは白梅町店と洛北店か。
洛北の阪急スクエアにはたまに行くので、あの赤本の並びがこちらにもあるのか確認に赴きたいと存じます。

洛北スクエアはすごく好きなショッピングセンターなので、ここにアバンティがあると思うと嬉しいな。
どうかこちらは長続きしますように。
 
 
 
 

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