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【はがきサイズの短編】それでも、トイレ掃除は嫌がります テーマ:もがく

こんにちは!高木梢です。
最近寒くなってきましたが、体調などお変わりありませんか。
私は布団から出られない日々が始まったな~と実感しております。

そうそう、そろそろ秋薔薇が咲き始める季節でもありますね!薔薇のジャムをひとさじ紅茶に溶かしてマドレーヌと一緒にいただきたいところです♡

さて、今回の言葉は、「もがく」です!
タイトルは、「それでも、トイレ掃除は嫌がります」です!


  ハクチョウは優雅に湖の上に浮かんで見えるが、水の中ではバタ足をしているらしい。人魚姫は軽やかに歩ける足を手に入れたが、一足ごとに鋭い痛みを感じていたらしい。

 それらと同じといえるほど優雅ではないが、平気そうに見せても心の中では暴れまわっていて、余裕のかけらもない私は親近感を感じてしまう。

 高校3年になり、大学受験のために塾に通うようになり、クラスでは顔見知り程度だった子のグループに入ったがいまいち打ち解けず、吹奏楽部のパートリーダーの仕事も、いろんな人たち(幹部の子たち、同じパートの後輩たち、先生などなど)の空気を読んで波風をたてないように気を付けなければならない。

 あっちでニコニコ、こっちでニコニコしている私の心の支えは、自分の部屋のドアの内側に掛けてあるメイド服だ。

 バレエ雑貨店でもりもりのパニエとコルセットを、しま●らや300均で靴下とレース手袋と付け襟を、古着屋でシンプルな黒いワンピースと白いエプロンを、ロリータ服のメゾンでヘッドドレスを買ってつくった、私だけのメイド服だ。

 お靴は黒のローファー。いつかちゃんとしたストラップシューズを履きたいけど、私のバイト代ではこれが限界だ。

 なんでメイドさんに憧れているかっていうと、漫画やアニメのメイドさんてドタバタ走り回るイメージが私の中で強いんだけど、忙しそうにもがいても、それすらかわいいってすごいなと思ったから。

 くるくる変わる表情が翻すスカートのようで、あっという間にどんなお仕事も問題も魔法のように片づけてしまう。

 この服を着るときだけ、私はメイドさんのように、もがきまくって最終的にはみんなハッピーになれる気がするのだ。がむしゃらにがんばることも、悪くないなと思えるのだ。

 いつか大学生になったら、私服を全部メイド服にしてしまおう。

 そう夢見るとき、今がはるか遠くの空に沈み、波打つフリルのように未来は明るく、私の心をときめかすのだ。


Fin

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
素敵な画像をお借りしました。




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