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モビリティが創るライフスタイル、「VANLIFE」のSDGsの可能性

 私は、モビリティから派生して生まれた、VANLIFE(バンライフ)というライフスタイルの可能性を提唱したい。バンライフとは、車を居住空間とする新しい暮らしの概念だ。日本ではまだまだ認知度は低いが、海外では一大ブームメントとなり、インスタグラムのハッシュタグで「#VANLIFE」と検索すれば、約855万件が表示される。一見、若者が熱狂する一種のトレンドとも見られることがあるが、SDGsの目標のうち、多くの目標に貢献すると考えている。


 私は、約2年前からCarstay株式会社というキャンピングカーのシェアリングサービスを展開する企業の立ち上げに関わり、現在は同社が運営するバンライフの専門メディア「VANLIFE JAPAN」の取材・執筆やイベント事業などP R業務に携わっている。バンライフの事業を始めた頃は、単なる若者の自由なライフスタイルの一つと捉えていたが、取材を続けてみると想像以上の価値があることに気付かされた。5G・自動運転といった近未来技術と地方の過疎化にある弊害や環境問題・経済活動など、人々が抱える問題に対して役立つ存在になるのだ。次に、具体的にどのような形で社会に貢献するか考えてみようと思う。

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 まず、バンライフの特性上、好きな時に・好きな人と・好きな場所で働くという考えが基礎となってくる。この生き方は、終身雇用制度が崩壊した現代の働き方に沿っており、合理的な手法と考えている。なぜなら、バンライフをして過ごす人は、得意とする技術やスキルセットを習得しているケースが多い。すなわち、好きな場所で場所を選ばずに自分のペースで働ける「ワーケーション」も上手く取り入れることができるのだ。


 また、バンライフを好む人々は、個人・夫婦・家族・友人と様々な小さな集団が協力し合い、車という一つの塊を動かして共通目的に向かって歩むものにある。ただ、小さな集団では、情報が不足するケースが多く、移住先の地域の人々や同じような集団と共生し、助け合う必要性がある。私もバンライフをテーマとするイベントの企画運営に携わり、コミュニケーションの場づくりに協力している。

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 このような、人々の大きな塊は、やがて大きな社会基盤に繋がっていくと考えている。現在、全国各地にバンライファーが集う、「RVパーク」「Carstayステーション」等のバンライフをする人たち向けの有償の滞在スポットが開設されている。これが、バンライファーの人口と共に、施設が増加しており、こうした、動きはやがて地方での移動のニーズを埋める存在になると私は考える。地方では、交通インフラの脆弱さにより、都市部から観光客を誘致したくても、移動手段に課題がある。そうした中で、車移動をより快適にすれば、都市部から地方への人交流人口の流入や地域滞在消費の拡充に繋がると言える。


 昨今では、バッテリーやアウトドアギア技術の進歩により、アイドリングをせずとも車内で快適に過ごす方法が増えている。また、バンライフを好む人は、ミニマリストと呼ばれる必要最低限のものを持って生活をする人々が大半であり、彼らは同時に環境保全への意識も高い。
 

 さらに、地震や病疫などの災害に備える、防災という側面においても、車は人々の暮らしを守るインフラとして役立つ。過去の震災の際には、車中泊を余儀なくされた被災者が、エコノミー症候群に悩まされたという事例も多々あった。

 しかし、正しい車中泊の仕方を覚えられれば、有事の際に自分の身を守ってくれる存在となる。私が都立高校にて車を活用した災害支援の事例や避難方法をテーマに講演した際に、車というモビリティが移動や旅だけではなく、防災にも寄与するということを伝えるワークショップを高校生向けに企画・提供を行なった。

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 以上より、私はバンライフが今後の社会に享受するメリットを十分に感じている。今後の社会基盤にある課題を埋める存在として一役担うバンライフを、さらなる社会の発展に向けて提言していきたいと考えている。


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