Kaori Kadobayashi

元フリーライター(現・会社員)。ここでエッセイ等を綴りながら、自分にとって「書くこと」…

Kaori Kadobayashi

元フリーライター(現・会社員)。ここでエッセイ等を綴りながら、自分にとって「書くこと」を改めて考えています。

最近の記事

【No.14 クッキー屋さん起業までに思ったこと②】

前回、会社員を辞めて、以前やっていたフリーライターではなく、クッキー屋さんを選択した話を書いた。 改めて読んでみると、フリーランスが年齢的にも難しくなって消去法的にクッキー屋さんを選んだようにも見えなくもない。実際に会社員になる前には、起業をした女性、あるいは起業しようとしている女性など、様々な働き方を選ぼうとしている方たちに書くというスキルを提供して、応援するという活動をしていた時期もあって、社会に受け皿がないからといって、起業を推し進めようとしている政策に多いに違和感を

    • 【No.13 クッキー屋さんの起業までに思ったこと、いろいろ】

      起業して1カ月が経った。売上はまだまだ小さいけれど、自分の手で何かを作り出すのは、やっぱり楽しい。実は、今回の起業に至るまでにも、クッキー屋さんをやりたいなと思うことがあった。 「1枚100円のクッキーを何枚売ったら生計立てられるんやろな」。その時は、計算が早くて、いつも的確に毒矢を放ってくる姉の言葉に思いとどまった。 走り出してみて、その言葉の重みがドスンと胸にこたえた。復職する前にやっていたフリーライターは、ほとんど経費というものがなかったのに比べて、クッキーを販売す

      • 【No.12】最近の父のこと

        学校事務で働き出して2年目で実家の近くに引っ越した。 前に住んでいた生駒では古い家だけど、自分で手を入れただけに愛着のある台所があり、子供たちが走り回れるスペースもあった。 でも、駅まで遠くて、朝、長男を送ってから一旦家に戻って出勤までに準備をしたり、仕事が終わってからはそれぞれにほぼ毎日、習い事やら歯医者やらがあって、車の中で過ごす時間が一日にすると2-3時間は軽くあり、仕事で疲れているときは辛かった。新しい道ができてからは、私の通勤路が多くの人の通り道となって、帰りは

        • 【No.11】立ち止まる、ということ

          私は振り返るのが嫌いだ。道を間違ったと思っても、引き返すことができない。そろそろと徐行運転もあまり、できない。とりあえず走ってみて、行き着いた先の景色を見たいと思う。 復職してからもずっとそんな感じで走っていた。そもそも離婚したいと思ったときに子供3人を育てる自信がなく、経済力、あるいはそれにつながるものを子育てという大義名分の前にことごとく手放していたことに気付いて歯がみをした。 離婚したいと思ったときにしたい! 引っ越したいと思ったときにしたい! 海外に行きたいと思っ

        【No.14 クッキー屋さん起業までに思ったこと②】

          【No.10】今でしょ!ってホントだね

          かなりうろ覚えではあるが、大昔のCM(かれこれ30年くらい前)で「好きなものから食べるのはA型、好きなだけ食べるのはB型」というものがあった。お弁当をどの順番から食べるかという一種の血液型占いみたいなものを使ったコマーシャルで、母以外は全員B型の我が家では、かなり不評だった。 なんだか血液型B型というと、世間ではわがままで変わり者というイメージらしい。それならば、我が家はどうなろうか! 確かに個性的ではあるが、理性ぐらいはあるぞ!と憤っていた。 そんな私も大人になって3児

          【No.10】今でしょ!ってホントだね

          【No.9】なんだ、1/2成人式って

          (投稿したつもりで、投稿し忘れていた原稿を発見!なので季節はずれですがご容赦を) 娘が10歳になった。 今は1/2成人式と言って、学校でセレモニーみたいなことをするらしい。成人の半分の今、夢であったり、親への感謝を語ろうというイベントだ。 どうも私も娘も、この種のイベントが苦手である。 私は結婚式に何の意味も見出せなくて、自分自身挙げていないし、もし息子や娘が挙式をして「お母さん、今までありがとうございました」と涙ながらに感謝されたら、どんな顔をして良いのか分からない

          【No.9】なんだ、1/2成人式って

          【No.8】コロナが悪い!

          退屈、と言うのは止めた。心をすっかり入れ替た(ホンマかい!)脱走計画も白紙に戻し、治療に専念しようと思う。 2月10日夜から急遽入院して、早くも10日が経とうとしている……。 今回、なぜこんな入院騒ぎにまで発展したかというと、おそらく私の不摂生に加えて、コロナが一番大きく関係していると思う。ちょっと長くなりますが、時系列で入院までの経緯を記したいと思う。 2月6日 食欲がなくなって熱が上がってきたけれど、まだ長男と一緒におにぎりを食べたし、アイスクリームを食べていた。

          【No.8】コロナが悪い!

          【No.7】逃走癖

          「そろそろ脱走しようかと思う」 病院生活に飽き飽きして掛けた、私の電話に母が鼻で笑った。 「そういや、パパ(私の父)は入院中も毎食外食したはったね」 言外に「お前もアイツらみたいに変人なんか!」と言われているような気がして、16時のシャワーの時に点滴を外してもらえるから、その時に病院の外で待っていて欲しい、という具体的な計画を話さずに会話は終わった。 医師であり、看護科で教えていた父にとって、病院は教え子だらけの場所。車は一番良い場所に置いて、尿管をぶら下げながら外食

          【No.7】逃走癖

          【No.6】クスリに関する記憶

          幼い頃、重い瞼をこすりながら起き上がると、誰もいなかったということがよくあった。4人兄姉の末っ子だったので、幼稚園に行くまでの期間、かなり時間を持て余していたように記憶する。 正確には家のどこかに祖父母はいてたのだけど、姉と兄が寝ていた布団はもぬけの殻で、その上に放り出されたぬいぐるみや絵本が、寝入るまでガヤガヤワヤワヤと楽しかったことを思い出させた。 あの日は、おそらく私は熱を出していて、普段ならば立ち入ることのできない二段ベッドの下段に寝ころんでいた。氷嚢はぬるくなっ

          【No.6】クスリに関する記憶

          【No.5】七転び八起き

          「七転び八起き」という言葉がありますね。 子供の頃、七回転んで、八回目に立ち上がらなかったら、どうするんだろう。お家にも帰れないし、ご飯も食べられないよと真剣に思っていました。 故事ことわざ辞典によると、「七転び八起きとは、何度失敗しても、諦めずに立ちあがることのたとえ。浮き沈みの激しい人生のたとえ」ということのようです。 決して、道でつまづいて転んで、起き上がれずに泣いている子のことではありません、よ(昔の私に向けて)。 でも、失敗して転んだとして、そのまま起き上が

          【No.5】七転び八起き

          【No.4】続・入院記(2)

          ついに、ついに食事の許可が下りました。 熱が出た頃から食べていないから、10日振りの食事、ということになります。血液検査では炎症の値がまだ出ているらしいですが、胃袋だけは元気なので空腹感は2~3日ありました。 しかしながら、食事が急に運ばれてきたために、「これって私食べていいんですかね? 何も先生から聞いておりませんが」といって食事を目の前に15分程度待たされることになりました。 大きな病院で上や下に上がったり下がったり、色んな方にしていただいて、その間も「待て」の姿勢

          【No.4】続・入院記(2)

          【No.3】続・入院記(1)

          久しぶりに落胆というやつをしてみました。 がっくり肩の力を落として、ベッドに戻って不貞寝をしました。 足をジタバタさせて、全身でどうにもならない状況に抗おうとしました。でも、誰も見てくれないので、10分くらいでやめました。(やはり阿呆ですな) 「退院できないですね」と30代前半の若い医師は言うのでした。横でアシスタントの女性がにこやかに微笑んでいます。 「先生うちには3人の子供がいまして、それはそれは寂しい思いをさせているんです」 私の涙ながらの(涙は出ていなかった

          【No.3】続・入院記(1)

          【No.2】遊星からの物体Xがお腹に!(後編)

          24時間ずーっと私と一緒にいる点滴のポールですが、入院してすぐに秘かにクレグという名前を付けました。 クレグは元同僚の名前ですが、バレても、背が高くって頼れる奴ってことだなときっと気を悪くしないと思っています。(そのくらいプラス思考です) 何にでも名前を付けるのは、私の癖で、息子が「おかーさんの変なところ」としておそらく一番に上げるんじゃないかなと思います。 例えば、今回、入院する前の私は「吐き気」と「下痢」の2つが大きな症状としてあったわけですが、吐き気をI君、下痢を

          【No.2】遊星からの物体Xがお腹に!(後編)

          【No.1】遊星からの物体Xがお腹に!(前編)

          最初に言っておきますが、私はかなりの阿呆です。 どのぐらいの阿呆かというと、高校生の頃に、今まで運動なんてやったことがないのに、先生の甘言に惑わされて「新体操部」を立ち上げるぐらいです。本当は体が90度より前に行ったことないぐらいカチコチで、「次の部員が入るまでにお前らを鍛えたるー!」という鬼の形相の顧問に追い回されたのは、今となっても良い思い出ではありません。 それはさておき、「ウイルス性胃腸炎」で私は入院したのでした。 その時に物議をかもしたのが、連日の40℃の熱の

          【No.1】遊星からの物体Xがお腹に!(前編)