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【No.9】なんだ、1/2成人式って

(投稿したつもりで、投稿し忘れていた原稿を発見!なので季節はずれですがご容赦を)

娘が10歳になった。

今は1/2成人式と言って、学校でセレモニーみたいなことをするらしい。成人の半分の今、夢であったり、親への感謝を語ろうというイベントだ。

どうも私も娘も、この種のイベントが苦手である。

私は結婚式に何の意味も見出せなくて、自分自身挙げていないし、もし息子や娘が挙式をして「お母さん、今までありがとうございました」と涙ながらに感謝されたら、どんな顔をして良いのか分からない。

そもそも結婚ということにすら、便宜上に便利だからという理由で入籍しただけであって、何の魅力も感じない。むしろなかったことにしてしまいたい今日この頃なのである。

それはともあれ、娘の1/2成人式である。コロナ禍で幸いなことに一度延期になったものの、延期というのは中止ではない。3月中頃に行われるという。

1/2成人式に向けて、幼い頃の思い出を聞かれて、「そうそう。あなた、2歳くらいにトイレトレーニングをしていたらトイレでするのがよほど嫌だったらしく、トランポリンの後ろでウンチをしていてね」と言ったら、怒った顔で「他にはないの!」と娘が聞く。

「あるよ。お母さんが疲れてソファで寝ていたら、アナタは大人しく遊んでいて。起きたら畳に一面、クレヨンで絵が描かれていたよ」

「いないいないばぁをするのが好きな時期があって、障子を破って、バァって顔を出した」

「幼稚園の出席ノートのシールを貼るところを、入園前にマジックで塗りつぶしていた」

ろくでもない思いでの数々に娘の顔が赤くなっていく。どうやら怒っているらしい。

「もうちょっと良い思い出ないの!?」

「うーん……」

なんせ、3人目の子供である。ただでさえ慌ただしい2人の育児の中で、3人目が空から降ってきた。……母の記憶は遠い。

元来、嘘が付けない性質なので、思い出を捏造するのもためらわれる。

なんとか良い思い出と言われるものを取り繕って、娘は学校へ無事にレポートを提出し、イベントで発表するらしい。

「……来なくて良いよ」

恐らく親に向けてメッセージを半強制的に書かされたらしい娘が言う。そんな感謝のメッセージをどう受け取って良いものやら分からない私は、もちろん行きたくない。

でも……。上の二人の子供たちの時に私は学んだのではなかったか。常にそういった行事は世間では重んじていることを。子供の言葉を真に受けて、行かなかったら一人ぼっちで帰ってきたり、親切なママ友から写真が送られてきたり、何か大変な家庭の事情があるのかと勘繰られたりという、ややこしいことが後に待ち受けているのではなかったか!!

ふと過去の痛い思い出を思い出し、やはり出席しようと思う。たとえ、娘と私にとって、感謝というものを言葉にすることが何の意味を持たなかったとしても。



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