君の生き方を誇りに思う。母より
あぁ、普通に眠れるってなんて幸せなことなんだろう。
両手を使ってご飯を食べれるってなんて豪華な時間なんだろうなんだろう。
ゆっくりトイレにこもっていられるってなんて贅沢なことなんだろう。
赤ちゃんを産んだ後、毎日のように訪れる感情。
世の中のママたちよ。みんなこんな思いをしているのかい?
疲労は常にマックスで、いつ終わるかわからない果てしない戦いの日々を続く。
もちろん我が子は可愛いさ。
でも、子を持つということがこんなにも大変だなんて誰も教えてなんてくれない。
この小さな命は私の腕にかかっている。
とにかく元気に生きてくれ。
それが私にできる精一杯だ。
髪の毛はボサボサで、いつ汚れても構わない動きやすい服を着て、お化粧なんてする暇もなく、母である自分を作り出すことに必死で。
他の人はどうやってるのかな。こんなんで大丈夫かな。不安や焦りも交互に押し寄せてきて心も体ももう今までの自分とは違う。
子育てとは本当に自分を試すための試練のように過酷なものである。
子供が見せる一瞬の笑顔がなければやってられない。
一流アスリートでなくてもいい、名門大学に通わなくてもいい、ただ自分が好きなことを自由にやって生きてくれ。
ただひとつ、友達は大切にするんだよ。
そんな思いで、特に手をかけるわけでもなく自由に子育てをしてきた。
興味のあることはとことんやれと言った。
ゲームにハマってしまった時は制限するべきか悩んだけれど、この時代を生きるのにIT系が弱いのも考えもんだと、ゲームの時間の制限はしなかった。
もっと性能がいいパソコンが欲しい、と出来るだけコストのかからない方法も自分で考え出した。
それは自分でパソコンを組み立てること。
部品を自分が欲しいスペックで買ってきてスクリュードライバー片手に組み立てる。私は時々呼び出されお手伝いをする。
中高生の頃は勉強はあまりしなかったけれど、パソコンの組み立てとゲームそしてサッカーに励んでいた。
「大学にはいかないよ。お金の無駄だから」
そう言って、しばらくフリーターをしてある日、電気技師になりたいと自分でコースの手配をして、トップクラスで終了し、就職活動を始めた。
そして、面接の時、うちの息子は面接官に言った。
「僕がこの会社を選ぶメリットはなんですか?他の会社より優れている点を教えてください。」
え?面接でそんなこと言ったの?
なんて自信でしょう。
結局彼はしっかりと採用され真面目に働き20歳の若さで自分の家を買って、気の合う友人と共に暮らしている。
私は自分の親にコントロールされる窮屈さを知っていた。
だからこそ自分の子供たちは全て自分で決めて、自分で前に進む自分本意で生きる人生を歩んで欲しかった。
そして私は子供からとても大きなことを学んだ。
私が今まで出来なかったこと。
自分軸で生きると言うこと。
自分で決めて、自分で計画して、自分が描く未来を現実化させていく。
その強さを子供に教えてもらった。
私は親としてした唯一のことは子供を信じること。
きっと多くの葛藤を乗り越えてここまでたどり着いたんだと思う。
親バカだと言われてもいい。
めちゃくちゃ頑張っていたことを知っているから。
私は君の生き方を誇りに思う。
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