大好きな人を送って気がついたこと
10年来の、私の最高年齢のお友だちが、昨秋お空にのぼったという知らせが届いた。
考え方が柔軟で、ダンディで、かっこいいおじちゃまでした。性別を超えて、かくありたいと憧れる人だった。
上智大学の社会人講座でフランス語を習っていたときに出会った仲間のひとり。
私たちは4人組で、彼は黒一点だった。黒というより、いぶしたシルバーという感じか。
授業が終わった後には、ほぼ必ず四谷界隈でランチして、もちろんビールもワインも飲んで。それが楽しみだったから、講座に毎週通うのも、厳しい宿題もやってきたという、まさに「語学友」だった。
去年の秋、病気の治療をして今は家にいる…というメッセージが最後だった。LINEグループの既読がいつもひとり分足りなくて、心配していた。
仲間のひとりがハガキを送り、奥様からメールが届いたのだった。
私たちは3人で、彼のアルバムを作ろうということになった。それぞれが持っている写真を、クラウド上のアルバムに入れていく…。
その作業のために、Googleフォトを古い順に見返していった。2015年がスタートだった。
いつも笑顔で楽しく飲んでいる写真ばかりが集まった。
彼の写真を探しながら、ほかの写真もずーっと眺めていたら、とにかく2020年の2月頃までは、あちこちによく出歩いて、いろいろな友だちに会っていたんだと、いまさらながらに気がついた。
あっけらかんとしていたな、とも思うし、若かったとも思う。
いつの間にか、すっかり足が鈍ってしまい、出かけることが億劫になっていたことにも気がついた。
最後にみんなで集まったとき、私は行けなかった。仕事が忙しくて行けなかったこともあるけれど、出かける力が鈍っていたこともある。ちょうど1年ほど前だった。
悔やまれる。会いたい人には会えるときに会わないといけないんだ。
彼の写真を眺めていたら、
「もっと出かけなさいよ。あなたはまだ若いんだから、ぼくよりずーっと。美味しいものも、楽しいことも、いくらでもあるんだよ、まだまだだよ」
と、励まされた気がした。
去年の私自身の病気の治療から、ますます外に出ることが億劫になってしまっていたんだなぁ。12月で治療はいったん終わったのだから、前を向いていかなくちゃ、ね。
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